10. 脳卒中患者会旅行の医学的・心理的効果-10年間のまとめ
【はじめに】脳卒中患者は, 重い障害や不安, 介護家族の余裕のなさなどのために, 旅行をあきらめていることが多い. Y病院では, 脳卒中患者会活動の一環として, 1978年から毎年春秋に1泊2日の ミス旅行を実施している. 今回, この10年間の患者会旅行の経験をまとめた. また第16回旅行に参加した患者全員にアンケートを実施し, 参加患者の特徴と旅行前後の意識 行動の変化を調査した. 【旅行の歴史と方法】当初は, 職員企画でリハ施設見学も組み込み, 参加者数は20人前後であった. それが1984年から患者会役員の自主的企画となり, レジャー的要素が強くなったのを契機に参加者が70人を越えるほ...
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Veröffentlicht in: | リハビリテーション医学 1987-11, Vol.24 (6), p.364-364 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】脳卒中患者は, 重い障害や不安, 介護家族の余裕のなさなどのために, 旅行をあきらめていることが多い. Y病院では, 脳卒中患者会活動の一環として, 1978年から毎年春秋に1泊2日の ミス旅行を実施している. 今回, この10年間の患者会旅行の経験をまとめた. また第16回旅行に参加した患者全員にアンケートを実施し, 参加患者の特徴と旅行前後の意識 行動の変化を調査した. 【旅行の歴史と方法】当初は, 職員企画でリハ施設見学も組み込み, 参加者数は20人前後であった. それが1984年から患者会役員の自主的企画となり, レジャー的要素が強くなったのを契機に参加者が70人を越えるほどに急増している. また障害があっても不自由なく参加できるよう, 事前に目的地を下見し, 宿泊施設等の設備を確認するなど物的条件の整備と平行して, 職員 ボランティア 家族参加による人的介助も重視してきた. 【参加患者の特徴と意識】第16回の旅行参加患者数は46人, 職員5人, ボランティア2人, 家族20人の総勢73人であった. (1)患者の平均年齢は61歳(最小42歳, 最高86歳)で, 発作後期間は平均4年7ヵ月だが, 2ヵ月から26年まで幅広く分布していた. (2)発作後始めての旅行が患者会旅行であった患者が52%と過半数であった. また初めての1泊旅行までの期間は1ヵ月から6年で半数は1年以内であった. (3)患者会旅行参加回数は平均5回(最高16回)で, 初参加と5-6回目の参加者が二つのピークを成していた. (4)患者の障害の程度は, 片麻痺のstage III IVの中 重度の片麻痺が20人(43%), 失調症4人(9%), バランス障害2人(4%)であった. (5)補装具の使用者は35人(76%)で, 単独で電車 バスを利用できない患者は15人(33%)であった. (6)日常の外出 外泊状況をみるとほとんど外出しないが7人(15%), 外泊が年1回が11人(24%), 外泊しないが2人(4%)であった. (7)患者の旅行前後の行動 意識の変化をみると, 仲間との交流の広がりが33人(72%)でもっとも多かった. 以下, 自信がついた18人(45%), 気晴らしになった16人(35%), 新しいことができた5人(11%)の順であり, ほとんどの患者が積極的効果を挙げていた. 【まとめ】脳卒中患者は, 一方では重い障害のため, また他方では不安や自信のなさにより自宅や病院周囲の狭い範囲内の地域に閉じこもり, 対人関係においても必要最小限に限られていることが多い. 患者会旅行は患者の生活空間を広げるきっかけとなると共に, 意欲を高める効果があることが示唆された. 質問 千葉リハセンター 赤城建夫:職員集団の患者に対する影響をどう評価しているのか. 質問 日産厚生会玉川病院 長谷川幹:酒類はどうしていますか. |
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ISSN: | 0034-351X |