40.頸椎症の保存的治療に関する一考察

頸椎症の治療に対する客観的評価の報告は少ない. 今回我々は, 頸椎症の保存的療法として温熱療法, 牽引療法, 装具療法を行い, (1)筋緊張の緩和をMicrovibration, (2)頸椎柱の安静と支持性の獲得を重心動揺, (3)循環障害の改善を指尖容積脈波(脈波基線変動)により観察し, 客観的評価を試みた. 便宜上, 頸椎症70例を局所症状(25例), 神経根症(15例), 脊髄症(30症例)の3群に分けて調査した. 局所症状例における温熱療法の効果をMicrovibrationの所見からみると, 25症例中20例はθ波が10%以下に減少し, α波は57~63%と増加してθ波が相対的に低下...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1987-09, Vol.24 (5), p.320-320
Hauptverfasser: 原田孝, 茂手木三男, 藤田隆一, 三島市郎, 鶴岡広
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:頸椎症の治療に対する客観的評価の報告は少ない. 今回我々は, 頸椎症の保存的療法として温熱療法, 牽引療法, 装具療法を行い, (1)筋緊張の緩和をMicrovibration, (2)頸椎柱の安静と支持性の獲得を重心動揺, (3)循環障害の改善を指尖容積脈波(脈波基線変動)により観察し, 客観的評価を試みた. 便宜上, 頸椎症70例を局所症状(25例), 神経根症(15例), 脊髄症(30症例)の3群に分けて調査した. 局所症状例における温熱療法の効果をMicrovibrationの所見からみると, 25症例中20例はθ波が10%以下に減少し, α波は57~63%と増加してθ波が相対的に低下したことより交感神経優位の筋トーヌスが緩和されたものと推察された. 次に, 神経根症に対する装具療法は, 頸椎柱の安静と支持性を獲得する上に重要であるが, 重心計による検査は, 月村も述べているごとく立位保持能力を評価する上に有用と思われた. 今回の検索からも頸椎軽度前屈位での装具装着は重心動揺を安定化させる結果が認められ, 脈波基線変動からもこれが裏付けられた. 脊髄症状を伴う頸椎症における脈波基線変動の観察では, 左右差などの異常所見が多数認められたが, 入院治療により良好な症状の改善が得られた症例では2~3週で脈波基線変動の異常が消失し, 左右相同性を示す結果が得られたことから, 脈波の基線変動は, 頸椎症に対する保存的療法の効果判定に有用と考えられた.
ISSN:0034-351X