13.C4レベル頸髄損傷患者に対する上肢操縦型電動車椅子の検討

【目的】我々は, 電動車椅子を改良することにより, 一般的には顎操縦が処方されるC4レベルの頸髄損傷患者でも上肢操縦が可能になったので, 改良部分と適応症例についての検討結果を報告する. 【対象】残存機能レベルがC4の頸損患者2例である. MMTで三角筋P, 大胸筋P-上腕二頭筋T, その他の上肢筋はZであり, ROMは, 肘関節の屈曲制限のみで他は正常であった. 2症例ともわずかに口や頸の運動を利用してタイプを打つことができたが, 上肢は全くADLに使用できなかった. 【方法】改良の要点を以下に述べる. 1)操縦レバー把持が不可能なため, スプリントを介して手とレバーを連結した2)上肢の痙攣...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1987, Vol.24 (4), p.234-234
Hauptverfasser: 伊勢真樹, 川村次郎, 大島富雄, 江崎重昭, 針山浩子, 坂本隆弘
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】我々は, 電動車椅子を改良することにより, 一般的には顎操縦が処方されるC4レベルの頸髄損傷患者でも上肢操縦が可能になったので, 改良部分と適応症例についての検討結果を報告する. 【対象】残存機能レベルがC4の頸損患者2例である. MMTで三角筋P, 大胸筋P-上腕二頭筋T, その他の上肢筋はZであり, ROMは, 肘関節の屈曲制限のみで他は正常であった. 2症例ともわずかに口や頸の運動を利用してタイプを打つことができたが, 上肢は全くADLに使用できなかった. 【方法】改良の要点を以下に述べる. 1)操縦レバー把持が不可能なため, スプリントを介して手とレバーを連結した2)上肢の痙攣や疲労により操縦不能に陥った場合の安全確保のため, 緊急停止用の電源スイッチをヘッドレスト中央に取り付け, 頸の運動を利用して電源を切れるようにした. 3)コントロールボックスをスイングアウトできるようにした. 【結果】2症例とも, 病院内および屋外を上肢操縦の電動車椅子により走行が可能になった. 操作性が向上し, 安全性も確保されたので不整地や人通りの多い廊下の走行時の疲労感が軽減した. 【考察】2症例とも前方, 内方への随意動作のみが可能であり, 後方, 外方へは上肢の重みによりレバーを操作していると考えられた. 少なくとも三角筋と大胸筋がPあれば, 上肢操縦による電動車椅子の処方を考慮すべきである. 質問 北海道大門司順一:電動車椅子では発進, 停止のときのスムーズさに欠ける場合があり, その時, 上肢の重力をコントロールに用いていることからくる誤作動はございませんでしょうか. 質問 兵庫県リハセンター南久雄:(1)コントロールボックスの改良は行っているのか. ニュートラル位置では, 操作桿が後方にたおれているが, 問題ないのか. (2)2年間顎コントロールの人に本法を行っているが, 顎コントロールの悪い点は. 答 伊勢真樹:(1)安静時の位置で後進への操作となりますが, まず患者はレバーを前方へ操作し, 停止の位置にてヘッドスイッチを入れますので急に後退するということはありません. また, コントロールボックスの位置の調整など1ヵ月ほどの訓練にて患者はスラロームなど操作性は向上してきます. (2)顎操作の際, 不整地などでは患者は顎を離せませんので, かえって誤操作することが多いですし, 疲労感もよく訴えられますので, できるならば上肢操作がよいということです.
ISSN:0034-351X