4.長期間の経過で歩行能力の改善をみた重度中枢性運動障害7例

脳卒中をはじめとする重度の脳障害患者の機能予後は, 極めて悪いとされている. 私たちは, 回復困難と思われた重度障害者に継続的なアプローチを行い, 歩行機能に一定の改善を見た7例を報告した. 当院で昭和53年より昭和61年12月末日の間, 脳卒中をはじめとする中枢性運動機能障害例で, 2年間以上にわたって継続的に関わってきた症例は287例である. そのうち, 1年間以上にわたって, 歩行不能であったのは56例あり, その中から, 7例が2年間以上の経過で歩行機能の改善をみた. 7例の平均年齢は61.7歳で, 1例の頭部外傷を除き全例が脳卒中である. 障害は両麻痺:3例, 左片麻痺4例である....

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1987-07, Vol.24 (4), p.209-210
Hauptverfasser: 郷地秀夫, 遠山治彦, 稲満雅弘
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:脳卒中をはじめとする重度の脳障害患者の機能予後は, 極めて悪いとされている. 私たちは, 回復困難と思われた重度障害者に継続的なアプローチを行い, 歩行機能に一定の改善を見た7例を報告した. 当院で昭和53年より昭和61年12月末日の間, 脳卒中をはじめとする中枢性運動機能障害例で, 2年間以上にわたって継続的に関わってきた症例は287例である. そのうち, 1年間以上にわたって, 歩行不能であったのは56例あり, その中から, 7例が2年間以上の経過で歩行機能の改善をみた. 7例の平均年齢は61.7歳で, 1例の頭部外傷を除き全例が脳卒中である. 障害は両麻痺:3例, 左片麻痺4例である. いずれも, 専門的リハ施設に入院しており, 平均7ヵ月間の機能訓練を受け退院時歩行不能とされていた. 当院でのリハ開始は発病後平均8.5ヵ月であり, 以後, 当院にて平均3年6ヵ月間継続的にリハを行って来た. リハ開始時, 左半側空間失認, 運動持続不能症, 弛緩性麻痺など多くの歩行阻害因子を持っていたが, いずれも決定的なものとはならなかった歩行機能改善の要因として, 以下が考えられた. 1)基礎的リハができており, その上に継続的なリハを行った. 2)重篤な内科的, 整形外科的合併症がなかった. 3)遷延性弛緩性麻痺の改善をみた. 4)高次中枢神経症状の一定の改善をみた. 5)家族の理解と協力が得られた. 質問 藤田学園保健衛生大土肥信之:長期間リハを行っても, 訓練中止後結局は歩けなくなったという例があるのではないか. 答 郷地秀夫:(1)長期歩行不能例のリハの意味をどう感じるかという質問に対しては, 歩行不能であっても, 患者のQOLを高めるという点では非常に有用であった. 患者の日常生活動作の改善, および家族の介護の軽減など有意義であった. (2)歩行可能症例の特徴はないかという質問に関し:歩行促進因子と歩行阻害因子があると思うが, 促進因子として, 患者, 家族と治療側のコミュニケーションがとれるかどうかが一つのポイントと思う. またCTでの共通点は見られなかった. 追加発言 窪田俊夫(座長):歩行能力の自立を予測するに当たり, マイナス面を強調する阻害因子のみではなく, プラス面ととらえる促進因子に注目しようとする本発表は, リハビリテーション. プログラムの実施面において非常に有意義と考えます.
ISSN:0034-351X