6.変形性股関節症患者における股関節周囲筋強化訓練の効果について

【日的】保存療法あるいは手術後の変形性股関節症(以下変股症と略す)における股関節周囲筋の萎縮(特に中殿筋)を改善する目的で, 周囲筋の強化を図った場合, 筋力がいかに増加し, 症状がどのように改善されたかを検討した. 【症例】末期変股症患者27例(保存例5例, 手術例22例)【方法】股関節周囲筋強化訓練を行い, 定期的に日整会股関節症評価, X線写真撮影(片脚立位前後, 側面)およびその計測, 徒手筋力テスト, バネ秤による筋力測定を施行. 【結果】1)保存例ならびに手術例における筋力の推移は両者間には明らかた差がみられた. すなわち人工股関節置換例では, 術後の筋力は術前よりも一時低下するが...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1986-11, Vol.23 (6), p.326-327
Hauptverfasser: 中野育昌, 赤松功也, 石原正文, 矢崎高明, 坪内敬典
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【日的】保存療法あるいは手術後の変形性股関節症(以下変股症と略す)における股関節周囲筋の萎縮(特に中殿筋)を改善する目的で, 周囲筋の強化を図った場合, 筋力がいかに増加し, 症状がどのように改善されたかを検討した. 【症例】末期変股症患者27例(保存例5例, 手術例22例)【方法】股関節周囲筋強化訓練を行い, 定期的に日整会股関節症評価, X線写真撮影(片脚立位前後, 側面)およびその計測, 徒手筋力テスト, バネ秤による筋力測定を施行. 【結果】1)保存例ならびに手術例における筋力の推移は両者間には明らかた差がみられた. すなわち人工股関節置換例では, 術後の筋力は術前よりも一時低下するが, その後の回復傾向は著しい. またオマリー筋解離術例の筋力回復は術後月数を経るに従って徐々に得られていく. 保存療法例の筋力増加率は前二者の中間ぐらいであった. 2)両側罹患例で術側ないし主疼痛側の筋力を反対側と比べてみると, 人工股関節例ではその増加率は反対側よりも大きく, オマリー例では術側の筋力の回復が容易に得られず, 保存療法例ではさらに劣っていた. 3)保存療法例では筋力のみが増強され, 疼痛や可動域の改善度は前二者に比して低い. 以上をまとめると, 変股症の治療として, 早期から筋力訓練を行うことは疼痛を軽減し, 歩行能力の改善を期待し得る. 質問 神奈川リハ病院村瀬鎮雄:我々は昨年理学療法学会に約80例の慈大式人工股関節例の後療法と入院期間, 入院遅延の原因などについて発表した. (1)人工股関節例について片側変股症と両側変股症例の差はどうでありましたか. (2)プログラム通り行えたのはどの程度あったか. (3)その遅延の理由は疼痛, 合併症, 能力低下などが挙げられると思いますが, いかがでしたか. 答 中島育昌:村瀬先生の質問に対して;我々はプログラムとして, 両側例は片側例に比べて2週長く入院することを決めております. 筋力の回復は当然片側例のほうが程度はよかった. また両側例は予定通りの消化で退院できております. 2週延長した理由は能力低下が主でありました. 長島先生の質問に対して;抗重力位でバネ秤により筋力を測定しており, 患者が疲れないよう手早くやっております.
ISSN:0034-351X