4. コミュニケーションQOL(C・QOL)表作成の試み

言語障害患者が家族や周囲の人々のコミュニケーションにどれくらい満足しているかを知ることは大切なことである. 今回我々は, 脳血管障害の失語症患者64名構音障害患者19名, 両者混合患者8名, 計91名の言語障害患者およびその家族を対象として, 言語障害後の満足度について調査した. 【方法】発話面, 理解面, 読解面, 書字面などの各モダリティ別, および言語全般に関して, 全く満足していない状態を0, 理想的な状態を100とした線分上に現時点での満足度を記してもらいその値を分析検討した. 【結果】QOLスケールは, 一般的に言語障害が重度になるに従い低下する傾向が認められた. しかし, 少数な...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1986-07, Vol.23 (4), p.192-193
Hauptverfasser: 前田真治, 頼住孝二, 福井圀彦, 丹沢章八, 前田真理子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:言語障害患者が家族や周囲の人々のコミュニケーションにどれくらい満足しているかを知ることは大切なことである. 今回我々は, 脳血管障害の失語症患者64名構音障害患者19名, 両者混合患者8名, 計91名の言語障害患者およびその家族を対象として, 言語障害後の満足度について調査した. 【方法】発話面, 理解面, 読解面, 書字面などの各モダリティ別, および言語全般に関して, 全く満足していない状態を0, 理想的な状態を100とした線分上に現時点での満足度を記してもらいその値を分析検討した. 【結果】QOLスケールは, 一般的に言語障害が重度になるに従い低下する傾向が認められた. しかし, 少数ながら, その中に言語障害が軽度であっても低いQOLの症例があったり, 逆に, 重度であっても高いQOLの値である症例があり, これらは年齢や発症後の経過期間, 復職の必要性の有無, 背後の家庭.社会.経済環境の安定などと関係があり, 心理的な成熟度とも関係するかのような結果が得られた. このことからも, このようなC.QOL表が言語.心理的問題や, 家庭的, 経済的, 社会的問題など種々の要素を含んだ問題の発見, 解決に非常に有用と考えられた. また言語治療を行う上で, 外見上問題のないようにみえる症例であってもQOL面で向上する可能性のある症例に対しての積極的アプローチの緒となることが認められた. 質問 長崎大 城丸みさと: 失語症患者と接する際, 一般的にウェルニッケタイプの患者は他タイプの患者に比較し, 病識が浅いという印象を受けている. 今回C.QOL表での評価を行うにあたって, 失語症のタイプ別による何らかの傾向が認められたか否か, 教えていただきたい. 答 前田 真治: ウェルニッケ患者では, 楽観的な患者が中におり, その例では, 本人のQOLスケールは高いものが得られたが, 逆に家族側の値は低いものであり差のあることは興味深いと考えられる. 質問 虎の門病院分院 土田 昌一: 重度失語症患者に対しコミュニケーションQOLは, どのように評価されたか. 答 前田 真治: 重症の失語症患者には最も親密な関係をもつ家族に施行し, 構成障害のある患者も同様にしました. 中等度の患者には本人, 家族の双方に施行しました. 軽症患者には主として本人に施行しました.
ISSN:0034-351X