14.脳卒中のリハビリテーションと全身痙攣発作
当院に1ヵ月以上入院して, リハビリテーション医療を受けた患者(発症→入院:平均123日)のうち, 全身痙攣発作を起こした48例について, 頭部X線CT所見及びリハ医療による到達ADLを追究した. 痙攣者の発生率は平均2.5%. 原因別では, 脳梗塞21例, 脳出血22例, クモ膜下出血5例である. この痙攣群を, 集計の終わっている56年度の諸統計と比較して検討した. 1)痙攣群の平均年齢は52.8±12.9歳で, 60歳以上に比して59歳以下に有意に多かった. 2)痙攣群の頭部X線CT病巣は大きく, 半側頭蓋腔内面積比で平均25.5%(対照9.8%)を示した. 3)痙攣群は脳室拡大を示す者...
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Veröffentlicht in: | リハビリテーション医学 1985-09, Vol.22 (5), p.250-250 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 当院に1ヵ月以上入院して, リハビリテーション医療を受けた患者(発症→入院:平均123日)のうち, 全身痙攣発作を起こした48例について, 頭部X線CT所見及びリハ医療による到達ADLを追究した. 痙攣者の発生率は平均2.5%. 原因別では, 脳梗塞21例, 脳出血22例, クモ膜下出血5例である. この痙攣群を, 集計の終わっている56年度の諸統計と比較して検討した. 1)痙攣群の平均年齢は52.8±12.9歳で, 60歳以上に比して59歳以下に有意に多かった. 2)痙攣群の頭部X線CT病巣は大きく, 半側頭蓋腔内面積比で平均25.5%(対照9.8%)を示した. 3)痙攣群は脳室拡大を示す者が多かった. 4)痙攣群は, 脳梗塞では中大脳動脈領域が大部分で皮質皮質下域を含む者が多く, 脳出血でも頭頂部, 側頭部の皮質下障害例が多かった. 5)痙攣群48人のうち, 右片麻痺の96.3%が失語症を伴い, 左片麻痺の70.0%が失認, 失行を伴っていた. 6)痙攣群の入院時ADLレベルは, 既に平均(対照)より低く, リハ医療後の到達ADLも低位に留まった. 7)脳波にてんかん波としての特徴を現したものは14.3%に過ぎなかった. 8)比較的少量の薬剤でコントロールし得る者が多かった質問 中伊豆リハセンター 三島博信:(1)てんかん発作といわないで, 全身痙攣といわれた理由は何か?(2)比較的若年層に発作例が多いということですが, その理由としてどう考えていられますか?(3)脳外科に手術を受けたケースと受けていないケースとの間に差はあったでしょうか?答 松村寧雄:(1)報告は「全身痙攣発作」と致しましたが, いわゆる大発作(grand mal)について述べたわけで, 「てんかん痙攣」であります. (2)今回の痙攣者が比較的若年群に多かったことは, 脳出血を約半数含んでいるためでありますが, 脳梗塞だけでは対照に比べてわずかに若年化しているものの, 有意ではありません. (3)脳出血群については, 血腫除去術を受けた者が多数含まれていることを申し上げておきます. (4)脳卒中後の二次性てんかん痙攣であっても真性てんかんのそれと同様に, 発作による脳の虚血誘起など危険性に変わりはありませんので, 一度発作があれば二度は起こさせないという方針ですぐ治療に入るべきだと考えます. 自験例では, 投薬を中止すると発作を起こすために8年以上にわたって投薬させたものがあります. 薬剤については, phenobarbital, phenytionその他, 症例, 副作用等を勘案して選択する点は通常の通りであります. |
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ISSN: | 0034-351X |