1.トルク吸収装置の大腿義足歩行に及ぼす影響

大腿義足歩行で発生する長軸まわりの回旋負荷を吸収するための装置-トルクアブソーバーについて, これを使用した歩行と使用しない歩行を4名の大腿切断者について比較検討した. 実験の内容は, (1)下腿パイプのトルクの測定(装置は膝上に設置してある), (2)トルクアブソーバ本体の回旋量の測定, (3)水平面に対する骨盤, ソケットおよび下腿パイプの回旋方向と回旋量の測定, の3種であり, これらを同時に並行して測定した. 被験者はいずれも右側切断の男性で, 2名は中断端, 2名は短断端である. 測定結果, トルク吸収装置は, 踵接地の直後から外旋を始め, 立脚中期から踵離床にかけて最大外旋角度(3...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1984-09, Vol.21 (5), p.317-318
Hauptverfasser: 青山孝, 笠原富美雄, 山下保, 森本正治, 浜田敏彰
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:大腿義足歩行で発生する長軸まわりの回旋負荷を吸収するための装置-トルクアブソーバーについて, これを使用した歩行と使用しない歩行を4名の大腿切断者について比較検討した. 実験の内容は, (1)下腿パイプのトルクの測定(装置は膝上に設置してある), (2)トルクアブソーバ本体の回旋量の測定, (3)水平面に対する骨盤, ソケットおよび下腿パイプの回旋方向と回旋量の測定, の3種であり, これらを同時に並行して測定した. 被験者はいずれも右側切断の男性で, 2名は中断端, 2名は短断端である. 測定結果, トルク吸収装置は, 踵接地の直後から外旋を始め, 立脚中期から踵離床にかけて最大外旋角度(3°~10°, 平均6°)に達する. 爪先離れの直前から急速に戻り始め, 遊脚相では僅かに内旋するが, ほぼ中立位で経過する. 義足のソケットも, 吸収装置の外旋とほぼ同じ時期に外旋し, 最大外旋角度も等しい. 装置を外した場合には, 外旋角度は3~6°減少し, 逆に下腿パイプのトルクは約50%(0.3kg)増加する. 以上から, トルクアブソーバは, 立脚相の後半でソケットの外旋を容易にし, 義足に加る回旋負荷を減らすとともに断端皮膚障害の防止効果も生むといえよう. 特に外転屈曲傾向の強い短断端症例では, 立脚相で膝を安定させようとする断端の動きは必然的にソケットを外旋させる力を生むため, この装置を使用する効果はより大きいと考えられる. 質問 岡山大 武智秀夫:このトルクアブソーパーに復元力をもたせる方向に開発されるよういわれましたが, 復元力をもたせたときの予想を御教示下さい. 答 青山孝:トルク吸収装置の設計には色々の難しい問題がある. 大腿義足には, 復元用スプリングが比較的弱いものでないとソケット-断端間の回旋力を吸収できないが, スプリングをあまり弱くすると摩擦などの関係で中立位に復元しない. また, 回転軸も義足に加わる前後, 左右の曲げモーメントに耐える強さを要求される. 御質問のようにダンピングの効いた制動を加える装置は好ましいが, 以上の理由から製作はかなり困難であると思う.
ISSN:0034-351X