25.膝人工関節術前・術後の大腿四頭筋力

目的:移動動作を円滑に行うため必要となる. 今回, 実際に膝人工関節置換術前, 術後の四頭筋力の回復状況を調査する機会を得たのでその結果を報告する. 対象:昭和48年以来, 当院を行った膝人工関節置換術48例64膝について大腿四頭筋力を調査した. 疾患別には慢性関節リウマチ(RA)40例53膝, ステロイド関節症(ス症と略)5例7膝, 変形性関節症(OA)3例4膝であった. 性別は男性5例, 女性43例であり, 手術時年齢は平均59.6歳(30~76歳)であった. 方法:筋力測定は, 患者を仰臥位にして, 足関節部にとりつけたバネ秤を用いた. 膝伸展位かつ伸展を保持させた時の最大負荷量を測定値...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1984-09, Vol.21 (5), p.315-316
Hauptverfasser: 渡部衛, 腰野富久, 岡本連三, 大成克弘, 松宮是哲, 高木敏貴
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:移動動作を円滑に行うため必要となる. 今回, 実際に膝人工関節置換術前, 術後の四頭筋力の回復状況を調査する機会を得たのでその結果を報告する. 対象:昭和48年以来, 当院を行った膝人工関節置換術48例64膝について大腿四頭筋力を調査した. 疾患別には慢性関節リウマチ(RA)40例53膝, ステロイド関節症(ス症と略)5例7膝, 変形性関節症(OA)3例4膝であった. 性別は男性5例, 女性43例であり, 手術時年齢は平均59.6歳(30~76歳)であった. 方法:筋力測定は, 患者を仰臥位にして, 足関節部にとりつけたバネ秤を用いた. 膝伸展位かつ伸展を保持させた時の最大負荷量を測定値とした. 結果:大腿四頭筋力の術前平均は4.4kg, 術後は7.2kgであった. 術後経過別比較では, 術後平均四頭筋力は1年未満の短期例(平均6ヵ月)では7.4kg, 1年以上3年未満の中期例(平均2年2ヵ月)では7.4kg, 3年以上の長期例(平均4年7ヵ月)では6.1kgであった. 平均四頭筋力の疾患別比較では, RAは術前4.2kg術後7.3kgであり, OAとス症とは術前5.5kg, 術後7.0kgであった. 性別比較では, 男性は術前6.3kg, 術後7.6kgであり, 女性は術前4.2kg, 術後7.2kgであった. 患者の生活活動範囲により平均筋力を比較したところ, 術前四頭筋力は屋内生活群は屋外生活群に比べ劣っていたが, 術後四頭筋力は差を認めなかった. 質問 防衛医大 石川卓志:RA例では膝以外の関節例えば股関節疾患の合併例がありましたか, あればその影響についてお教え下さい. 答 渡部衛:股関節等の他関節病変との合併例に対しては, 人工股関節等の手術を行った症例も含まれております. しかし, 大体数は, 膝関節病変を主体とするものであった. 質問 岡山大 長島弘明:術後筋力の男女差が減少したということですが, この臨床的意義はいかがですか. 女性の方が回復が良いということですか, それとも男性の回復が遅いということでしょうか. 質問 リハセンター鹿教湯病院 宗田大:(1)貴院筋力評価法では特に屈曲拘縮があると筋力の評価が正確に行えない. (2)男女差, 個体差で下肢長が違うのでトルク値として考えた場合, 筋力が正確に反映されない. (3)屈曲拘縮患者での筋力低下は相関がありますか. 答 渡部衛:以前に調査した結果では, 健常者の女性の四頭筋力は男性の70%という結果を得た. 今回は, 症例数の差や疼痛の素因の関係もあり, 男女差を認めるにはいたらなかった. 下肢長差に関しては先生のおっしゃる通りでございますが, 今回は, 最大負荷量についてのみ検討しました. 答 岡本連三:男女で筋力に差がなかった理由はなぜかについての質問に対して, 共同演者として答弁;種種の理由が考えられるが, 人工関節によって獲得されうる膝機能には個有のものがあり, 正常膝よりもある程度の制限された範囲であるため, この機能に合わせた筋力の回復しか得られないためなどが考えられる. 旭川, 小野沢先生の質問に対して;屈曲拘縮のある患者では, その患者のとりうる膝最大伸展位での四頭筋力を測定値とした. 答 渡辺衛:京都, 福井先生の質問に対して;人工膝関節術前, 術後の大腿周囲径は計測しておりますが, 今回は, それについての詳細は検討はしておりません. いずれ行うつもりです.
ISSN:0034-351X