16.失語症の視覚的探索プロセス(その1)-Eye mark recorderによるポインティング課題の分析
失語症患者の絵カード探索の過程を調べるために, アイマークレコーダーによって, 患者の視点の動きを記録し, 分析を試みた. 方法:被験者は, 当部で言語訓練を受けている失語症患者6名及び健常者2名である. 用いた課題は, 被験者の正面のスクリーニング上に題示される四つの絵の中から予め指示された一つ(target)をできる限り早く探し, 指でポインティングするというものであった. この際, targetを指示する方法により以下の2条件を設定した. (1)Verbal条件-targetを音声と文字により言語的に指示, (2)Visual条件-targetをtargetと同一の絵カードを提示すること...
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Veröffentlicht in: | リハビリテーション医学 1984, Vol.21 (5), p.287-288 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 失語症患者の絵カード探索の過程を調べるために, アイマークレコーダーによって, 患者の視点の動きを記録し, 分析を試みた. 方法:被験者は, 当部で言語訓練を受けている失語症患者6名及び健常者2名である. 用いた課題は, 被験者の正面のスクリーニング上に題示される四つの絵の中から予め指示された一つ(target)をできる限り早く探し, 指でポインティングするというものであった. この際, targetを指示する方法により以下の2条件を設定した. (1)Verbal条件-targetを音声と文字により言語的に指示, (2)Visual条件-targetをtargetと同一の絵カードを提示することにより視覚的に指示. 被験者には, アイマークレコーダー(nacV型)を装着し, 上記課題遂行中の視点の動きをVTRに記録した. その後マイコンシステムにより, 探索の全体的パターン, 探索時間, 探索距離を分析した. 結果:失語症患者では, Verbal条件で, Visual条件よりも探索時間, 距離が長く, 探索に手間どることが示された. またこの傾向は, 他の言語検査での理解力スコアが相対的に悪い患者で, より大きかった. 健常者は, 時間, 距離とも患者より短く, 条件間の差もなかった. この結果は, 理解の障害という要因が探索過程に反映されることを示すものであり, こうした方法が患者の障害を, より詳細に把握するのに有効であることを示唆する. 質問 東京都老人総合研究所 伊藤元信:(1)課題に用いた線画一つ一つを単独で提示された時に各失語症患者がそれらを正しく同定できるか否かをあらかじめ確認してあるか. (2)線画を一つ一つ単独に提示した時の, 失語症患者と正常者の間の探索行動に関する差異の有無について検討したか. (3)一般的にいって理解障害が重度になればなるほど探索時間が長くかかると考えて良いか. 答 浮田潤:(1)本実験前に, 正答できることを確認している. (2)一つの絵を見る時のeye markの移動については, まだ行っていないが, 今後ぜひ取り上げたいと考えている. |
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ISSN: | 0034-351X |