25. 進行性筋ジストロフィー症に対する重力牽引の経験
Tabjanは特発性側彎症の術前に患児をさかさまにつり下げる重力牽引を行なった結果, 手術成績だけでなく肺機能の改善も得られたと報告している. 今回私達はこの重力牽引をデュシャンヌ型筋ジストロフィー症の患児5名に行ない, いささかの知見を得たので報告する. 患児の年齢は9歳で, 機能障害度は厚生省筋ジストロフィー症協同研究班制定のステージ5である. 患児を傾斜台上に骨盤ベルトと足部ストラップで固定した後, 傾斜台を上下さかさまに垂直位に傾け患児にできるだけ頻回の深呼吸を行なわせた. 重力牽引は1日に10分, 1週間に5日, 合計13カ月間行ない, 側彎の程度, %肺活量を経時的に観察した. 5...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | リハビリテーション医学 1983-11, Vol.20 (6), p.391-392 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | Tabjanは特発性側彎症の術前に患児をさかさまにつり下げる重力牽引を行なった結果, 手術成績だけでなく肺機能の改善も得られたと報告している. 今回私達はこの重力牽引をデュシャンヌ型筋ジストロフィー症の患児5名に行ない, いささかの知見を得たので報告する. 患児の年齢は9歳で, 機能障害度は厚生省筋ジストロフィー症協同研究班制定のステージ5である. 患児を傾斜台上に骨盤ベルトと足部ストラップで固定した後, 傾斜台を上下さかさまに垂直位に傾け患児にできるだけ頻回の深呼吸を行なわせた. 重力牽引は1日に10分, 1週間に5日, 合計13カ月間行ない, 側彎の程度, %肺活量を経時的に観察した. 5例中2例が牽引開始後1カ月, 1.5カ月目にそれぞれ嘔吐および垂直位の姿勢に我慢できないということで脱落した. 牽引を行なった3例および早期に中止した2例のCobb角は13カ月間にそれぞれ平均10度から16度, 15度から23度になり両者の間にほとんど差を認めなかった. 脊柱可橈性は牽引中止例では平均16%減少したが, 牽引群のそれは僅か4%であった. %肺活量は牽引群では平均3%の改善が認められたが, 対照群では平均5%の減少を示した. 以上より重力牽引によって側彎の進展を防止することができないが, 脊柱可橈性の維持および呼吸機能の改善を示唆する所見が得られた. 質問 福島整肢療護園 湊 治郎: Tabjanの文献を読んでいないのでわからないのですが, 特につり下げを用いた理由をお教え下さい. 答 畑野 栄治: 重力牽引法は他の側彎症の保存的治療と異なり呼吸機能改善の効果を期待できるのでTabjanを利用した. 質問 愛媛大整形外科 野島 元雄: 脊柱の可橈性はいつまで維持されるのでしょうか. 答 畑野 栄治: 垂直位の方が横隔膜運動に対してより大きな抵抗が加わるので, 傾斜台を急峻にしました. 重力牽引は脊柱に対して他動的ROM訓練としての効果を及ぼすので脊柱可橈性が維持される. |
---|---|
ISSN: | 0034-351X |