8. 片麻痺歩行の速度増加のトレーニング

私達は, CVA片麻痺患者を後からpushしながら歩行させると歩行速度が増加することを経験した. このpush効果を動作面と心理面より考察した. 10例のCVA片麻痺(Br. stage 3が1例, 4が7例, 5が2例)を対象とし, 10mをpushして2往復トレーニングをした. push前後の最大歩行について速度, 歩幅, 歩行の時間的分析, 8ミリ記録の動作分析を行なった. push後に歩行速度は全例に増加(増加率9.0~30.7%, 平均17.3%)し, 遊脚期(両側, 7/10)と脚のswing speed(両側, 9/10)が増加し, 両脚支持率の短縮(7/10, 9/10)がみら...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1983-09, Vol.20 (5), p.311-311
Hauptverfasser: 高木秀峯, 田迎方夫, 大田仁史, 吉益暢夫, 小野順一, 津沢 保, 達橋和良, 杉野美貴子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:私達は, CVA片麻痺患者を後からpushしながら歩行させると歩行速度が増加することを経験した. このpush効果を動作面と心理面より考察した. 10例のCVA片麻痺(Br. stage 3が1例, 4が7例, 5が2例)を対象とし, 10mをpushして2往復トレーニングをした. push前後の最大歩行について速度, 歩幅, 歩行の時間的分析, 8ミリ記録の動作分析を行なった. push後に歩行速度は全例に増加(増加率9.0~30.7%, 平均17.3%)し, 遊脚期(両側, 7/10)と脚のswing speed(両側, 9/10)が増加し, 両脚支持率の短縮(7/10, 9/10)がみられた. また, 体幹の前傾の増加(健側7/10, 患側8/10)とstep幅の増加(健側9/10, 患側5/10)もみられた. pushによって最大歩行の速度の増加とそれに対応する歩行周期各相と姿勢の変化がみられた. pushの効果は患者に前方への重心移動に対する平衡反応を誘発し獲得させたと思われる. また, この効果が短時間(1~2分)で得られたことから, pushによって患者が自己の身体的な潜在能力(capacity)を知り, push後に最大速度への心理的な抑制を減少することができたと考えられる. これはpushしたことが速い歩行に対する心理的限界を向上したことを意味する. なお, このpush法はトレーニング法の中の反応強制法の1つであり, 痙性等を強める手技であるため, 治療場面では用いられないが, 機能の固定した患者の移動のactivityを向上する立場から有効なトレーニング方法と考えられる.
ISSN:0034-351X