都市部と郊外における昆虫アレルゲン感作の実態と,昆虫単独感作例の臨床免疫学的特徴

【背景】わが国における昆虫アレルゲン感作の実態や,その特徴については未明な点が多い。【対象と方法】鼻症状を主訴に国際医療福祉大学三田病院(東京都)あるいは国際医療福祉大学病院(栃木県)を受診し,特異的IgE検査を施行した524症例(東京都316例,栃木県208例)を対象とした。2病院における昆虫(蛾,ユスリカ,ゴキブリ)感作率と,昆虫感作例,特に昆虫単独感作例の臨床免疫学的特徴を検討した。【結果】蛾,ユスリカ,ゴキブリの感作率は東京で30.7%,10.0%,10.6%,栃木で26.4%,10.6%,12.5%であり,東京と栃木で有意差を認めなかった。昆虫感作例の中,95.1%が蛾への感作を示し...

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Veröffentlicht in:耳鼻咽喉科免疫アレルギー 2020, Vol.38(3), pp.57-63
Hauptverfasser: 岡, 愛子, 小山田, 匠吾, 岡, 晋一朗, 古舘, 佐起子, 高橋, 優宏, 岩崎, 聡, 赤松, 摩紀, 野口, 佳裕, 假谷, 伸, 金井, 健吾, 牧原, 靖一郎, 西﨑, 和則, 岡野, 光博
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【背景】わが国における昆虫アレルゲン感作の実態や,その特徴については未明な点が多い。【対象と方法】鼻症状を主訴に国際医療福祉大学三田病院(東京都)あるいは国際医療福祉大学病院(栃木県)を受診し,特異的IgE検査を施行した524症例(東京都316例,栃木県208例)を対象とした。2病院における昆虫(蛾,ユスリカ,ゴキブリ)感作率と,昆虫感作例,特に昆虫単独感作例の臨床免疫学的特徴を検討した。【結果】蛾,ユスリカ,ゴキブリの感作率は東京で30.7%,10.0%,10.6%,栃木で26.4%,10.6%,12.5%であり,東京と栃木で有意差を認めなかった。昆虫感作例の中,95.1%が蛾への感作を示した。昆虫非感作例と比較して昆虫感作例は,有意差をもって男性に多く血清総IgE値が高かった。昆虫単独感作例は他抗原との重複感作例と比較し,高齢者に有意に多く認めた。また有意な差を認めなかったものの,重複感作例と比較し昆虫単独感作例で通年性の症状を多く認めた。【まとめ】アレルギー性鼻炎の昆虫抗原として蛾の重要性が確認された。昆虫抗原への感作率は都市部と郊外で差を認めなかった。昆虫単独感作例は高齢男性が多い,総IgE値が高い,通年性症状という特徴を示した。特に高齢者では血管運動性鼻炎や老人性鼻漏の患者層と重なっており,総IgE値が高い症例では昆虫抗原を含めたIgE検査を行う必要が示唆された。
ISSN:0913-0691
2185-5900
DOI:10.5648/jjiao.38.57