地域在住高齢男性における喫煙と筋肉量減少および筋力低下との関連

「I. 緒言」超高齢社会を迎えたわが国では, 加齢に伴う生理的予備能の低下に起因する様々な健康障害の増加が懸念されており, 健康寿命の延伸や介護予防の視点からその対策が公衆衛生上の重要な課題となっている. サルコペニア(Sarco: 筋肉, Penia: 萎縮)は, 加齢による筋肉量の過度の減少を特徴とする症候群で, 筋萎縮による筋力低下から転倒, 骨折, 身体機能障害を起こす危険性が高くなる. サルコペニアの成因には, 加齢によるもの(一次性)以外に, 栄養状態の悪化, 活動性の低下, 内分泌因子の変化によるものなど(二次性)があり, 多様な要因が複合的に関与するとされている. 喫煙が骨格筋...

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Veröffentlicht in:日本衛生学雑誌 2021, Vol.76, pp.21003
Hauptverfasser: 野上, 絵理子, 宮井, 信行, 張, 岩, 阪口, 将登, 早川, 博子, 服部, 園美, 内海, みよ子, 上松, 右二, 有田, 幹雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:「I. 緒言」超高齢社会を迎えたわが国では, 加齢に伴う生理的予備能の低下に起因する様々な健康障害の増加が懸念されており, 健康寿命の延伸や介護予防の視点からその対策が公衆衛生上の重要な課題となっている. サルコペニア(Sarco: 筋肉, Penia: 萎縮)は, 加齢による筋肉量の過度の減少を特徴とする症候群で, 筋萎縮による筋力低下から転倒, 骨折, 身体機能障害を起こす危険性が高くなる. サルコペニアの成因には, 加齢によるもの(一次性)以外に, 栄養状態の悪化, 活動性の低下, 内分泌因子の変化によるものなど(二次性)があり, 多様な要因が複合的に関与するとされている. 喫煙が骨格筋に及ぼす影響については, 筋蛋白質の合成阻害と分解促進, 好気的リン酸化能力の低下, 炎症性サイトカインの増加, グルコース取り込みの阻害, 一酸化炭素による酸素運搬能の低下など, 組織・細胞レベルで量の減少と質の低下を招く可能性が示唆されている.
ISSN:0021-5082
1882-6482
DOI:10.1265/jjh.21003