幼児絵本から人工唾液中へのビスフェノールA(BPA)の溶出実験
『はじめに』 ビスフェノールA(BPA)は, エストラジオールの1/10,000と弱いながらも細胞や動物でエストロゲン作用が確認され, 長年, 安全性に疑問が投げかけられている物質である. 本物質は, ポリカーボネート製の硬質プラスチック食器, エポキシ樹脂, 歯科材料, 不燃繊維などの原材料として現在でも広範囲で使用されている(1). 今日でも, 食品缶詰のコーティング剤からかなりの濃度のBPAが食品中に溶出していることが明らかで, ヒトを含む動物への影響が懸念されている(2). 本物質の最大の関心事は, 乳幼児が頻繁に使用する哺乳瓶をはじめとする食器に用いられていることである. 生体におけ...
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Veröffentlicht in: | 日本衛生学雑誌 2010, Vol.65 (3), p.467-470 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 『はじめに』 ビスフェノールA(BPA)は, エストラジオールの1/10,000と弱いながらも細胞や動物でエストロゲン作用が確認され, 長年, 安全性に疑問が投げかけられている物質である. 本物質は, ポリカーボネート製の硬質プラスチック食器, エポキシ樹脂, 歯科材料, 不燃繊維などの原材料として現在でも広範囲で使用されている(1). 今日でも, 食品缶詰のコーティング剤からかなりの濃度のBPAが食品中に溶出していることが明らかで, ヒトを含む動物への影響が懸念されている(2). 本物質の最大の関心事は, 乳幼児が頻繁に使用する哺乳瓶をはじめとする食器に用いられていることである. 生体における薬物代謝能および脳神経系の発達が未熟な胎児や乳幼児が本物質を取り込むと, 悪影響が現れる疑いがもたれている(3, 4). すでにカナダ政府は, BPAを含んだ哺乳瓶の輸入, 販売を禁止する措置をとり, 厚生労働省も安全性について内閣府食品安全委員会に再検討を求めている. |
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ISSN: | 0021-5082 |