メチル水銀の胎児期曝露の生体指標としての臍帯水銀濃度の有用性の検討

I. 緒言 メチル水銀の胎児期曝露影響に関する疫学研究において, 出産時の母親毛髪水銀濃度が曝露指標としてこれまで使用されている(1-20). 特に, 毛根部から1cm毎に測定した水銀濃度は, 頭髪が1ヶ月に1.1cm伸びるとされることから, 各々の妊娠時期も考慮した曝露指標として期待される(21). しかしながら, フェロー出生コホート研究では出産直後の母親の毛根部から3~9cmの毛髪(長さの不統一は毛の長さが異なることによる)の水銀濃度が測定されているし, セイシェル小児発達研究では9cm長の毛髪が用いられた(1). したがって, 妊娠中の平均的な曝露レベルは推定できるものの, 発達段階の...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本衛生学雑誌 2007/09/15, Vol.62(4), pp.949-959
Hauptverfasser: 村田, 勝敬, 嶽石, 美和子, 島田, 美幸, 佐藤, 洋
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:I. 緒言 メチル水銀の胎児期曝露影響に関する疫学研究において, 出産時の母親毛髪水銀濃度が曝露指標としてこれまで使用されている(1-20). 特に, 毛根部から1cm毎に測定した水銀濃度は, 頭髪が1ヶ月に1.1cm伸びるとされることから, 各々の妊娠時期も考慮した曝露指標として期待される(21). しかしながら, フェロー出生コホート研究では出産直後の母親の毛根部から3~9cmの毛髪(長さの不統一は毛の長さが異なることによる)の水銀濃度が測定されているし, セイシェル小児発達研究では9cm長の毛髪が用いられた(1). したがって, 妊娠中の平均的な曝露レベルは推定できるものの, 発達段階の脆弱性の高い脳・神経における特定時期の曝露レベルや特定時期の高濃度曝露レベルを必ずしも反映しない可能性がある. 実際, フェロー出生コホート研究の神経行動・心理学的検査で有意な関連が見られたのは臍帯血水銀濃度であり, 一方神経生理学的検査と有意な関連を示したのは出産時の母親毛髪水銀濃度であったと米国National Research Councilは指摘している(1).
ISSN:0021-5082
1882-6482
DOI:10.1265/jjh.62.949