P186 健診・レセプト突合データを用いた生活習慣病関連医療費の分析
【はじめに】高血圧, 糖尿病等の生活習慣病は, 我が国の医療費の多くを占める. 今回の医療制度改革では, 生活習慣病の重症化を予防し, 腎不全や循環器疾患等の合併症の罹患率を低下させることにより全体の医療費削減を期待している. 本研究では健診・レセプト突合データを用いて生活習慣病に関わる健診結果と医療費との関連を分析し, 生活習慣病に関わる医療費の現状を把握するとともに, 保健指導義務化による影響を推測することを目的とする. 【対象と方法】対象は二つの健康保険組合(被保険者計70,776名)の男女40歳以上で2003年~2005年の間に健康診断を一度でも受診したことのある14,459名である(...
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Veröffentlicht in: | 日本衛生学雑誌 2007, Vol.62 (2), p.510-510 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】高血圧, 糖尿病等の生活習慣病は, 我が国の医療費の多くを占める. 今回の医療制度改革では, 生活習慣病の重症化を予防し, 腎不全や循環器疾患等の合併症の罹患率を低下させることにより全体の医療費削減を期待している. 本研究では健診・レセプト突合データを用いて生活習慣病に関わる健診結果と医療費との関連を分析し, 生活習慣病に関わる医療費の現状を把握するとともに, 保健指導義務化による影響を推測することを目的とする. 【対象と方法】対象は二つの健康保険組合(被保険者計70,776名)の男女40歳以上で2003年~2005年の間に健康診断を一度でも受診したことのある14,459名である(男性9,243名, 女性5,216名). これら対象者を含む健診データに2005年1月から12月分のレセプトデータを連結匿名化したものを株式会社日本医療データセンターGMDC)より提供を受け, これをデータセットとして用いた. 健診データよりBMI, HbA1C, 空腹時血糖, 収縮時血圧, 拡張期血圧, 総コレステロール, 中性脂肪のデータを解析に使用した. レセプト記載傷病名はJMDCが開発したICD-10対応標準マスターによりICD-10疾患コードに変換し, E10-14を糖尿病, E780-785を高脂血症, I10-15を高血圧症での「受診あり」とした. 医療費は糖尿病, 高脂血症, 高血圧症のいずれかの傷病が記載されているレセプトより外来医療費, 入院医療費を算出した. 【結果】2003年の健診結果において, BMIを0:正常(25未満), 1:過体重(25以上30未満), 2:肥満(30以上)に, HbA1cを0:正常(5.5未満), 1:指導レベル(5.5以上6.1未満), 2:受診勧奨レベル(6.1以上7.0未満), 3:要治療レベル(7.0以上)に, 拡張期血圧を0:正常(85未満)1:指導レベル(85以上90未満), 2:受診勧奨レベルA(90以上100未満), 3:受診勧奨レベルB(100以上110未満), 4:受診勧奨レベルC(110以上)に分類し, それぞれの群の一人当たり外来医療費と一件あたり外来医療費を比較した結果, BMIでは一人当たり外来医療費は正常群から順に, 26,778円, 47,944円, 66,797円であった. 一件当たり外来医療費は同じく, 139,245円, 153,200円, 177,489円であった. HbA1cでは一人当たり外来医療費は正常群から順に29,318円, 44,350円, 103,801円, 132,137円, 一件当たり外来医療費は同じく, 139,245円, 153,200円, 177,489円であった. 拡張期血圧では一人当たり外来医療費は正常群から順に23,890円, 48,551円, 66,422円, 77,442円, 83,692円, 一件当たり外来医療費は同じく137,273円, 158,040円, 157,735円, 157,690円, 143,473円であった. 【考察】一人当たり生活習慣病関連医療費は, 健診結果の重症度が上がるにつれ上昇し, それは主として受診割合の上昇によることが判った. 保健指導義務化により受診割合が上昇すればそれに応じて医療費は増大することになる. 中長期的な動向については受診により重症化をどれほど予防できるかをモニタリングしていく必要がある. |
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ISSN: | 0021-5082 |