戦争・平和と衛生学

まとめ 戦前からの継続を宣した日本衛生学会は, 社会医学として平和的に発展していくために, 医学医療全体が戦争に動員され, 荷担していった歴史の解明と教訓を得る調査研究を自らの課題とすべきではないか. 医学全体については, 日本医師会及び日本学術会議への言及なしには論じられない. 日本医師会については, 最近の世界医師会準会員会議で毎年のように「731部隊に関する決議案」が提出されているが, 日本医師会は, 世界医師会への加盟が許された際に世界医師会に提出した声明文で決着済という方針で対応してきたが, 果たしてそうだろうか. 学術会議では日本帝国陸軍第731部隊に教え子たちを送った者が会員に選...

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Veröffentlicht in:日本衛生学雑誌 2006-03, Vol.61 (suppl), p.68-71
1. Verfasser: 西山勝夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:まとめ 戦前からの継続を宣した日本衛生学会は, 社会医学として平和的に発展していくために, 医学医療全体が戦争に動員され, 荷担していった歴史の解明と教訓を得る調査研究を自らの課題とすべきではないか. 医学全体については, 日本医師会及び日本学術会議への言及なしには論じられない. 日本医師会については, 最近の世界医師会準会員会議で毎年のように「731部隊に関する決議案」が提出されているが, 日本医師会は, 世界医師会への加盟が許された際に世界医師会に提出した声明文で決着済という方針で対応してきたが, 果たしてそうだろうか. 学術会議では日本帝国陸軍第731部隊に教え子たちを送った者が会員に選出されたり, 731部隊で行われた研究を基にした学位論文が多くの大学で受理され, 博士の学位が授与されていたことを不問にしてきた. 衛生学の分野では, 満洲医科大学衛生学教室のように, 日本のみならず植民地における衛生学者や衛生学研究機関などが戦争に動員され, 「満蒙開拓」などに荷担したが, 全貌は未解明のままに戦後60周年を迎えてしまったことも反省の課題ではなかろうか.
ISSN:0021-5082