慢性痛の末梢機構

「1. はじめに」 平成19年度の国民生活基礎調査(厚生労働省)における有訴者率をみると, 男性の第1位が腰痛, 第2位が肩こり, 女性の第1位が肩こり, 第2位が腰痛, 第3位が手足の関節の痛みとなっている. 残念なことに, この結果は平成13・16年度と全く同様で, 「運動器の10年」, あるいは「痛みの10年」という世界的規模での痛みへの取り組みがなされたにも関わらず, 今なお多くの国民が運動器の慢性痛に苦しんでいる現状を示唆している(図1). 周知のように, 慢性痛とは単なる時間経過が長い痛みのことを指しているのではなく, 傷害治癒後や些細なイベントなど, 侵害受容器の興奮から始まる生...

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Veröffentlicht in:日本基礎理学療法学雑誌 2011, Vol.14(2), pp.7-13
Hauptverfasser: 沖田, 実, 中野, 治郎, 坂本, 淳哉, 森本, 陽介, 近藤, 康隆, 濱上, 陽平
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」 平成19年度の国民生活基礎調査(厚生労働省)における有訴者率をみると, 男性の第1位が腰痛, 第2位が肩こり, 女性の第1位が肩こり, 第2位が腰痛, 第3位が手足の関節の痛みとなっている. 残念なことに, この結果は平成13・16年度と全く同様で, 「運動器の10年」, あるいは「痛みの10年」という世界的規模での痛みへの取り組みがなされたにも関わらず, 今なお多くの国民が運動器の慢性痛に苦しんでいる現状を示唆している(図1). 周知のように, 慢性痛とは単なる時間経過が長い痛みのことを指しているのではなく, 傷害治癒後や些細なイベントなど, 侵害受容器の興奮から始まる生理的痛み, すなわち急性痛の機序では説明がつかない持続性, 難治性の痛みのことを指し, 近年の先行研究によれば, 神経系の感作や可塑的変化がその原因といわれている1). ただ, ある日突然, 慢性痛が発生したという患者は非常に希で, それに至るきっかけとなる要因が存在する場合がほとんどで, その代表的なものとしては組織損傷と不活動があげられる2)(図2).
ISSN:2186-0742
2434-0731
DOI:10.24780/jptf.14.2_7