慢性過敏性肺炎の臨床学的検討

慢性過敏性肺炎は診断が困難であり, 原因除去が難しいため予後不良の経過となりやすい. 我々は, 当院で経験した慢性過敏性肺炎5例についてその臨床像を検討した. 年齢は51~64歳, 男性1例, 女性4例. 急性エピソードを認めたものはなく, 亜急性から慢性に増悪する乾性咳嗽, 労作時呼吸困難で受診している. 5例中3例は上肺野優位の間質性陰影であり, 5例中4例は入院後無治療での改善は認められなかった. 1週間前後の帰宅誘発試験で明らかに陽性と判定できた症例はなく, 1ヶ月以上の外来での経過観察で初めて増悪の徴候が認められ, 完全に原因抗原を同定できたものは5例中1例であった. 業者による清掃...

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Hauptverfasser: 三輪清一, 中野秀樹, 桑田博史, 鈴木研一郎, 松田宏幸, 横村光司, 朝田和博, 中村祐太郎, 乾直輝, 須田隆文, 千田金吾
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:慢性過敏性肺炎は診断が困難であり, 原因除去が難しいため予後不良の経過となりやすい. 我々は, 当院で経験した慢性過敏性肺炎5例についてその臨床像を検討した. 年齢は51~64歳, 男性1例, 女性4例. 急性エピソードを認めたものはなく, 亜急性から慢性に増悪する乾性咳嗽, 労作時呼吸困難で受診している. 5例中3例は上肺野優位の間質性陰影であり, 5例中4例は入院後無治療での改善は認められなかった. 1週間前後の帰宅誘発試験で明らかに陽性と判定できた症例はなく, 1ヶ月以上の外来での経過観察で初めて増悪の徴候が認められ, 完全に原因抗原を同定できたものは5例中1例であった. 業者による清掃を施行できたのは5例中4例であったが, いづれも徐々に増悪を認め, 5例中2例は呼吸不全のため死亡した. 本疾患は根本的な治療方法である転居が, 社会的経済的理由で極めて困難なため, ステロイドを使いながら同じ環境に曝露され続けることになり, 予後不良の経過となりやすいと考えられた. 今回剖検のとれた1例の結果もあわせて報告する.
ISSN:1345-0565