免疫チェックポイント阻害薬によりサルコイドーシス・サルコイド様反応を呈した症例の診断・治療の課題
Challenges in sarcoidosis and sarcoid-like reactions associated to immune checkpoint inhibitors: a narrative review apropos of a case. Apalla Z, et al. Dermatol Ther 2021; 34: e14618. 近年, 種々の悪性腫瘍に対し免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor: ICI)が使われる頻度が増えるに従い, さまざまな免疫関連有害事象(immune-related adverse ev...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 2023-10, Vol.43 (1/2), p.128-128 |
---|---|
1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | Challenges in sarcoidosis and sarcoid-like reactions associated to immune checkpoint inhibitors: a narrative review apropos of a case. Apalla Z, et al. Dermatol Ther 2021; 34: e14618. 近年, 種々の悪性腫瘍に対し免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor: ICI)が使われる頻度が増えるに従い, さまざまな免疫関連有害事象(immune-related adverse event: irAE)がみられる. その中にサルコイドーシスやサルコイド様肉芽腫が生じたものも, 比較的稀ながらみられる. 今回紹介する論文は2021年に発表されたものだが, 過去の報告をレビューしてあるのでここに紹介する. 著者らはICI使用中にサルコイドーシスまたはサルコイド様肉芽腫を生じた英文報告を渉猟し80症例をレビューした. 男女比は1:1で, ICIが投与された基礎疾患で最も多かったのは悪性黒色腫(65/80, 81.3%)であった. ICIの内訳はペンブロリズマブが28.7%(21/80), イピリムマブとニボルマブの併用が26.3% (21/80), イピリムマブ 22.5%(18/80), ニボルマブ20.0%(16/80)であった. サルコイドーシスに対し副腎皮質ステロイド薬の全身投与を要さなかった患者が多かったが(52/80, 65%), 最終的にICI中止に至った症例が半数以上を占めた(44/80, 55.0%). 病変がみられるのは, 縦隔/肺門リンパ節が最も多く(70%), 次いで皮膚(50%)の順であった. 皮膚病変は他の臓器病変と一緒にみられた症例が40%と多く, 皮膚だけに限局してみられたのは10%と少なかった. 皮膚症状のタイプは, 大多数が紅斑性丘疹と局面であった. 他に, 結節性紅斑様脂肪織炎, 皮下結節, 結節性紅斑などがみられた. その機序については, (原因薬としてイピリムマブが多いので)イピリムマブ投与によってTh1タイプのT細胞が増える, 免疫チェックポイント阻害薬によってTh17タイプのT細胞を増加させる, Th17.1細胞が増える, などの機序が想定されている. 今後は, irAEとしてサルコイド様肉芽腫を生じた症例において, 単一の臓器にのみ病変がみられた群と, 複数の臓器に病変がみられた群とで, 他の臓器(例えば甲状腺や消化器など)にもirAEを来す頻度に違いがあるのかなども明らかになることに期待したい. |
---|---|
ISSN: | 1883-1273 |