論文紹介 【皮膚】 トファシチニブはTh 1型免疫反応を抑えることによってサルコイドーシスを改善させる

「Inhibition of type 1 immunity with tofacitinib is associated with marked improvement in longstanding sarcoidosis. Damsky W, et al. Nat Commun 2022; 13: 3140. 」皮膚サルコイドーシスを有する患者10例に対し, JAK阻害薬であるトファシチニブ(JAK 1/3阻害薬)を投与した. 患者は平均年齢56歳の成人で, 男性6人, 女性4人で, サルコイドーシス罹患歴は平均13年, 活動性の指標であるcutaneous sarcoidosis ac...

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Veröffentlicht in:日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 2022-10, Vol.42 (1/2), p.61-61
1. Verfasser: 山本俊幸
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「Inhibition of type 1 immunity with tofacitinib is associated with marked improvement in longstanding sarcoidosis. Damsky W, et al. Nat Commun 2022; 13: 3140. 」皮膚サルコイドーシスを有する患者10例に対し, JAK阻害薬であるトファシチニブ(JAK 1/3阻害薬)を投与した. 患者は平均年齢56歳の成人で, 男性6人, 女性4人で, サルコイドーシス罹患歴は平均13年, 活動性の指標であるcutaneous sarcoidosis activity and morphology instrument(CSAMI)は平均37(中等度~重症)であった. ヒドロキシクロロキン, メトトレキサート, プレドニゾロンなどの前治療に効果不十分の患者にトファシチニブ(5mg)1日2回投与したところ, 全例で改善を示し, 6ヵ月後には6例が完全に消退した. 部分消退に留まった2症例に対し, トファシチニブ1日15mg, 20mg内服に増量したところどちらも完全に消退した. 皮膚外症状は, 肺病変を8例, 心病変を1例に認めた. PET-CTでの評価では3例に肺病変の完全またはほぼ消退消退を認めた. 心病変を認めた1例も活動性は消失した. 概して, トファシチニブに対する反応は, 肺よりも皮膚病変の方が高かった. 生検皮膚組織を用いたsingle cell RNA解析では, 特にCD4陽性T細胞由来のIFN-γの発現が高く, 気管支肺胞洗浄液でも同じ傾向がみられた. 組織切片を用いたin situ hybridizationでは, 皮膚, 肺ともにIFN-γ, IL-12BのmRNA発現がみられた. 以上より, Th1細胞由来のIFN-γがマクロファージを活性化しサルコイド肉芽腫の形成を促進するkey driverとなっていること, トファシチニブがIFN-γのシグナル伝達を抑制することで有効性をもたらすことが示唆された. 本試験は症例数が少なくオープンラベル試験であり, また皮膚サルコイドーシスのタイプに関する記載が不十分であるが, 皮膚サルコイドーシスの難治な病変に対して, JAK阻害薬が新たな治療選択肢となる可能性が期待される.
ISSN:1883-1273