疫学的視点からみたサルコイドーシスの病態と病因

サルコイドーシスは,未知の抗原に対する増幅され持続するTh1型肉芽腫反応と理解されているが,適切な動物モデルはなく,未だ病態・病因・発病要因は十分に解明されていない.当科で経験した連続症例588例の臨床像とその時代的変遷を検討したところ,若年群では胸郭内外のリンパ節病変がより多くみられる一方で,高齢群では,高Ca血症とともに多様な非リンパ系の胸郭外病変がみられた.胸部X線写真病期では,20歳代では男女ともに肺門部リンパ節腫脹がほぼ必発であったのに対し,この頻度は加齢に伴い一貫して減少した.診断時年齢分布は高齢化し,若年成人における発病を示す第一ピークが低下する一方で,閉経後女性にみられる第二ピ...

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Veröffentlicht in:日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 2015/11/01, Vol.35(1), pp.17-25
Hauptverfasser: 澤幡, 美千瑠, 杉山, 幸比古
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:サルコイドーシスは,未知の抗原に対する増幅され持続するTh1型肉芽腫反応と理解されているが,適切な動物モデルはなく,未だ病態・病因・発病要因は十分に解明されていない.当科で経験した連続症例588例の臨床像とその時代的変遷を検討したところ,若年群では胸郭内外のリンパ節病変がより多くみられる一方で,高齢群では,高Ca血症とともに多様な非リンパ系の胸郭外病変がみられた.胸部X線写真病期では,20歳代では男女ともに肺門部リンパ節腫脹がほぼ必発であったのに対し,この頻度は加齢に伴い一貫して減少した.診断時年齢分布は高齢化し,若年成人における発病を示す第一ピークが低下する一方で,閉経後女性にみられる第二ピークは一貫して保たれていた.臨床像の年齢による相違は,経気道的に侵入した原因抗原が胸郭内の所属リンパ節を介してリンパ脈管系をめぐる経路とともに,加齢に伴い変化する免疫制御機構を反映している可能性がある.多様な微生物への曝露,卵巣機能不全,ビタミンD欠乏等の中から発病に寄与する環境要因を明らかにし,予防・治療戦略を構築していく必要がある.
ISSN:1883-1273
1884-6114
DOI:10.7878/jjsogd.35.17