抗凝固療法を施行し得なかった肺血栓塞栓症の周術期管理の一例

70歳女性,呼吸困難を主訴に来院。急性肺血栓塞栓症(APTE)の診断で抗凝固療法が開始されたが下血が出現。精査にて上行結腸癌と診断。貧血の増悪で抗凝固療法が中止され上行結腸切除術が先行された。術前IVCフィルターを挿入し完全静脈麻酔で術中管理した。経食道心エコーの所見で右肺動脈内腔に約80%を占める血栓を認めたが術中増大傾向はなかった。手術終了後麻酔からの覚醒に問題なく抜管し集中治療室へ帰室した。APTEに対しては抗凝固療法がその治療法であるが,腫瘍からの出血のため抗凝固療法を中断し手術治療を可及的速やかに行わざるを得ない稀な症例であった。術前術中の適切な対策と準備で安全な周術期管理が可能とな...

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Veröffentlicht in:蘇生 2012/08/10, Vol.31(2), pp.66-69
Hauptverfasser: 坂本, 麗仁, 齋藤, 啓一郎, 伊藤, 美保, 金田, 徹, 鈴木, 利保
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:70歳女性,呼吸困難を主訴に来院。急性肺血栓塞栓症(APTE)の診断で抗凝固療法が開始されたが下血が出現。精査にて上行結腸癌と診断。貧血の増悪で抗凝固療法が中止され上行結腸切除術が先行された。術前IVCフィルターを挿入し完全静脈麻酔で術中管理した。経食道心エコーの所見で右肺動脈内腔に約80%を占める血栓を認めたが術中増大傾向はなかった。手術終了後麻酔からの覚醒に問題なく抜管し集中治療室へ帰室した。APTEに対しては抗凝固療法がその治療法であるが,腫瘍からの出血のため抗凝固療法を中断し手術治療を可及的速やかに行わざるを得ない稀な症例であった。術前術中の適切な対策と準備で安全な周術期管理が可能となった。
ISSN:0288-4348
1884-748X
DOI:10.11414/jjreanimatology.31.66