ACLSコースでのアンブマン・メガコード(TM)の使用経験 ハートシム(TM)との比較

現在全国各地で開催されているACLSコースでは, 主にハートシム(TM)(レールダール社)が使用されていると思われるが, 今回我々は奈良県でのACLSコースの開催に際しメガコード(TM)(アンブマン社)を使用し問題点を抽出したので報告する. コース受講者は奈良県医師会麻酔部会を中心とした15名で, インストラクターは主に大阪, 広島でコース開催を行っている17名であった. 以前にメガコード(TM)を用いてインストラクションを行ったものは居らず, コース終了時にメガコード(TM)の使用難度に対するアンケート調査を行った. ハートシム(TM)と比較し使用上の問題点として以下のものが挙げられた. 1. 「待機調律」という考え方がなく, 臨機応変に波形を選択しにくい. 2. 除細動後に次波形が間髪を入れず立ち上がり臨場感に欠ける. 3. TCPに「全く」というほど対応していない. 4. 血圧, 脈拍などの実数値設定ができない 5. 「苦悶」, 「嘔吐」などが演出できない. これらの問題に対応するため以下の対策を取った. 1. 事前に約1ヶ月ほど県立広島病院にメガコード(TM)を借用し実際に触り, 問題点を踏まえて自在に運用できるインストラクターを各ブースに1名以上養成し配置した. 2. 完璧なシナリオとメガコード(TM)運用マニュアルを作成した. 3. 受講者に対しメガコード(TM)の設定限界を説明した. アンケートの結果は「慣れておらず使いにくかった」「臨機応変に波形を変更するのが難しかった」などの意見が多数みられた. インストラクター側で対策を講じることのできる問題点より, できない問題点が多く存在し, 慣れの問題というよりメガコード(TM)本体に潜在する問題と捕らえるべきと考える. 結語：今後レールダル, アンブマン両社が競合的に販売活動を展開していくために, アンブマン社側に上記に対する改善を期待したい.