閉塞性動脈硬化症患者の下肢血行再建術中に心停止を来した1症例
閉塞性動脈硬化症患者の下肢血行再建術中に心停止を来した症例を経験した. 症例は72歳の男性で, 右下肢の血行再建のため, 右大腿動脈-後脛骨動脈バイパス術が予定された. 合併症として, 高血圧, 糖尿病, 慢性腎不全があった. 投薬は, シロスタゾール, インスリン, アムロジピン, ドキサドシン, アテノロールで, 透析は週3回行われていた. シロスタゾールは, 手術の5日前より中止した. 麻酔前投薬として, アトロピン0.4mgを筋注した. 麻酔導入はプロポフォールとベクロニウムで行い, 気管挿管後, 酸素, 亜酸化窒素, セボフルラン, フェンタニルで麻酔を維持した. 術中血圧は130/...
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Veröffentlicht in: | 蘇生 2003, Vol.22 (3), p.199-199 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 閉塞性動脈硬化症患者の下肢血行再建術中に心停止を来した症例を経験した. 症例は72歳の男性で, 右下肢の血行再建のため, 右大腿動脈-後脛骨動脈バイパス術が予定された. 合併症として, 高血圧, 糖尿病, 慢性腎不全があった. 投薬は, シロスタゾール, インスリン, アムロジピン, ドキサドシン, アテノロールで, 透析は週3回行われていた. シロスタゾールは, 手術の5日前より中止した. 麻酔前投薬として, アトロピン0.4mgを筋注した. 麻酔導入はプロポフォールとベクロニウムで行い, 気管挿管後, 酸素, 亜酸化窒素, セボフルラン, フェンタニルで麻酔を維持した. 術中血圧は130/50mmHg, 心拍数は48bpmで安定していた. 右大腿動脈遮断下に大腿深動脈の形成を行ない, 遮断解除した4分後, 突然心停止となった. 心マッサージを開始し, エピネフリン1mg, アトロピン1mgの投与により, 3分後に洞調律に復帰した. 蘇生後の検査では, カリウム値は正常で, 代謝性アシドーシスもなかった. バイパス手術は中止した. 術後, 指示動作は認められるものの, 自発呼吸が十分ではなかったため, 集中治療室でプロポフォール鎮静下に人工呼吸管理を行った. 集中治療室入室直後, 心拍数が20bpmまで低下し, エピネフリン1mgの投与により100bpmに回復した. 一時ペーシングを行ったが, その後除脈は認められず, 翌日に抜管した. 後日行われた冠動脈撮影では有意な狭窄はなく, ホルター心電図でも異常は認められなかった. 特に後遺症を残すことなく術後17日目に退院した. シロスタゾールには陽性変時作用があると報告されている. アテノロールの陰性変時作用に拮抗していたシロスタゾールの投与を術前中止したため, 一過性に洞機能不全状態に陥っていたことが今回の心停止の一因と考えられた. |
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ISSN: | 0288-4348 |