飯田下伊那医療圏における消防防災ヘリによる救急搬送の利点と課題

背景:飯田下伊那二次医療圏は1市3町14村で構成され, 有する人口は18万人であるが面積は1929km2と香川県をしのぐ. 当病院は, 救急医療基幹病院としてこの地域からの救急患者を受け入れているが, 平成12年9月以来遠隔地域からの重症患者搬送に消防防災ヘリコプターを導入している. 今回, 消防防災ヘリコプターによる搬送(以下, ヘリ搬送)をそれ以前の救急車による搬送(以下, 救急車搬送)と比較し, ヘリ搬送の利点と今後の課題を考察した. 方法:飯田広域消防本部の協力を得て, 当医療圏におけるヘリ搬送対象地域からの搬送を, ヘリコプター導入以前の救急車搬送40例とへリ搬送48例の計88例で要...

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Hauptverfasser: 丸山晃一, 原克実, 神頭定彦, 近藤直美
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:背景:飯田下伊那二次医療圏は1市3町14村で構成され, 有する人口は18万人であるが面積は1929km2と香川県をしのぐ. 当病院は, 救急医療基幹病院としてこの地域からの救急患者を受け入れているが, 平成12年9月以来遠隔地域からの重症患者搬送に消防防災ヘリコプターを導入している. 今回, 消防防災ヘリコプターによる搬送(以下, ヘリ搬送)をそれ以前の救急車による搬送(以下, 救急車搬送)と比較し, ヘリ搬送の利点と今後の課題を考察した. 方法:飯田広域消防本部の協力を得て, 当医療圏におけるヘリ搬送対象地域からの搬送を, ヘリコプター導入以前の救急車搬送40例とへリ搬送48例の計88例で要した時間(覚知から現場まで, 現場滞在時間, 現場から病院までの各所要時間)を比較した. 結果:覚知から患者を病院に収容するまでの時間は, 救急車の平均70.6分に対しヘリ搬送67.7分と有意差は認められなかった. ヘリ搬送は現場到着までの時間が49.5分と救急車搬送の13.7分に比べ有意に長い反面, 現場の出発から病院到着までに要した平均時間が11.3分と救急車搬送の47.5分に対して有意に短縮した. 考察:診療所からのヘリ搬送では, 現場を出発してから病院までの時間が短縮されることで, より長時間医師の監視, 治療下におけた. また, 救急車搬送に比べ患者の血行動態の安定度が保たれることから, ヘリ搬送は多発外傷, 急性心筋梗塞, 解離性大動脈瘤及び腹部大動脈瘤破裂等の患者の搬送において特に有用であることが示唆された. 一方, 当医療圏でのヘリ搬送においては, 現場到着までの時間を短縮することが今後の課題として残された. 現在, ヘリ搬送の流れの効率化を試みており一定の成果が上がっているが, 根本的解決策として当地域へのヘリコプター基地の設置と対象地域へのヘリポート増設が強く望まれる.
ISSN:0288-4348