vWF-CP活性低下を認めたHUSの一例 HUS, vWF-CP活性, 血漿交換
(背景)血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と溶血性尿毒症症候群(HUS)は血栓性細小血管障害症として類似の疾患として扱われてきたが, 近年両者の病因病態は大きく異なる可能性が示唆されており, von Willebrand因子切断酵素(vWF-CP)活性の測定による鑑別も試みられている. 今回, 右下腹部痛,下血で発症し急速に進行する腎機能障害, 血小板減少, 溶血性貧血, 痙攣発作を呈し, 血漿交換(PEX)により改善を得た症例を経験したので, TIP/HUSに対する最近の知見をふまえ, 若干の考察を加え報告する. (症例)69歳女性6月7日より右下腹部痛, 下血が出現. 6/9近医受診し精査...
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Veröffentlicht in: | 蘇生 2002, Vol.21 (3), p.219-219 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | (背景)血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と溶血性尿毒症症候群(HUS)は血栓性細小血管障害症として類似の疾患として扱われてきたが, 近年両者の病因病態は大きく異なる可能性が示唆されており, von Willebrand因子切断酵素(vWF-CP)活性の測定による鑑別も試みられている. 今回, 右下腹部痛,下血で発症し急速に進行する腎機能障害, 血小板減少, 溶血性貧血, 痙攣発作を呈し, 血漿交換(PEX)により改善を得た症例を経験したので, TIP/HUSに対する最近の知見をふまえ, 若干の考察を加え報告する. (症例)69歳女性6月7日より右下腹部痛, 下血が出現. 6/9近医受診し精査目的にて入院となる. 入院時バイタル正常. Hb13.5, Plt22.9万, T-bil 1.1, BUN11.7, Cr0.8. CTにて大腸全周性の浮腫と腹水を認め, 大腸鏡検査にてS状結腸~直腸にかけてび漫性出血を認めた. 便培養にて大腸菌検出されるが, 病原性大腸菌, ベロ毒素は検出されなかった. 絶食, 抗生剤投与にて症状軽快するが第6病日 Hb6.5, Plt3.1万, T-bil 2,2, BUN40.5, Cr3.1と貧血, 血小板減少, 腎機能障害が急速に進行し, 第7病日に全身性痙攣出現しTTP疑われ当センター転送となった. 搬入後精神神経症状は認めないが, さらに腎機能障害, 血小板減少進行. 臨床症状と経過からHUSと考え, 血液透析(HD)と血漿交換(PEX)施行. PEX2クール施行時点で血小板滅少, 溶血性貧血の進行は止まり, 以降維持透析導入し, 徐々に腎機能回復得られている. 2回のPEX後であるが血漿vWF-CP活性は38%と低下と, 抗vWF-CPase 抗体の存在が確認された. (考察)本症例は出血性大腸炎, 血小板減少, 溶血性貧血, 腎機能障害を主症状としている. 痙攣の発症があり, 抗vWF-CPase 抗体が存在した点ではTTPも否定できない. 病原性大腸菌やベロ毒素の検出はされなかったが, 出血性大腸炎に続発し, 特に急速に進行する腎機能障害を主症状としている点で臨床的にはHUSと考えられた. 血漿vWF-CP活性や抗vWF-CPase抗体の浸淀がTTPとHUSとの鑑別に有効な可能性はあるが, 急速に進行する症例では測定結果を待つのは治療上不利である. 確定診断前であっても強く疑われた時点で早期にPEXを行うことが重要な治療になると考えられた. |
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ISSN: | 0288-4348 |