当センターにおける熱中症18例の検討 -新分類を用いて- 熱中症, 急速冷却
今回我々は安岡らによって提唱されている新分類を用いて, 熱中症の予後と血液学的検査の推移より適切な治療指針について検討した. 対象:1999年6月から, 2002年7月までの間に三次対応として当センターに搬送された熱中症18例. 結果:年齢は55.6±21.95歳, 男:女=12:6で男性に多く, 搬送時深部体温は40.6±1.2度であった. 発症の誘因として精神疾患をもつものが3例, 脳梗塞など神経疾患を伴うものが5例, 既往症のない健康体での発症が10例であった. 生命予後は全例が生存し, 8例に意識障害(JCS-1ケタ)を認めた. 安岡らによって提唱されている熱中症の新分類によって18例...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 蘇生 2002, Vol.21 (3), p.215-215 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 今回我々は安岡らによって提唱されている新分類を用いて, 熱中症の予後と血液学的検査の推移より適切な治療指針について検討した. 対象:1999年6月から, 2002年7月までの間に三次対応として当センターに搬送された熱中症18例. 結果:年齢は55.6±21.95歳, 男:女=12:6で男性に多く, 搬送時深部体温は40.6±1.2度であった. 発症の誘因として精神疾患をもつものが3例, 脳梗塞など神経疾患を伴うものが5例, 既往症のない健康体での発症が10例であった. 生命予後は全例が生存し, 8例に意識障害(JCS-1ケタ)を認めた. 安岡らによって提唱されている熱中症の新分類によって18例を分類するとI度が1例, II度が1例で残りの16例はIII度の重症熱中症で, 来院時意識障害を認めたものは15例であった. マラソン, 肉体労働に発症した努力型熱中症(III-C)は4例であった. 血液学的検査にて肝障害を合併したものは11例でCPK, GOT, GPTの推移は第3病日をピークに低下する傾向を示した. 腎障害は7例に合併し, BUN, Cre, は来院時にピークをもち, 脱水の補正によって速やかに正常化した. 凝固線溶系の異常を認めるものは6例でPlt, ATIII, は第3病日にもっとも低く, その後は上昇傾向をしめした. 考察:III度熱中症とは意識障害, 肝腎障害, DICのいずれかを合併する重症病態と定義されている. 18例のうち16例はこのIII度熱中症に分類されたが, 生命予後は良好であった. 血液学的には異常値は第3病日をピークに軽快傾向を示し, 早期に治療を開始することによって, 病態は3日以内に改善すると考えられた. 当センターでは熱中症が疑われた時点から急速冷却を施行し, 速やかに体温を低下させるとともに, 輸液管理, 臓器障害に対する治療, 抗DIC療法など集中治療を行っている. 意識障害で搬送される3次救急症例は様々な病態に依るが, 発症形態と高体温により熱中症あるいは同病態の合併は比較的容易に診断できる. 原因検索に無駄な時間が費やされることなく, 早期より急速冷却を開始したうえで検査を同時進行で行うことが, 良好な予後に結びつくと考えられた. |
---|---|
ISSN: | 0288-4348 |