蘇生し得た急性薬物中毒によるCPA症例の検討 急性薬物中毒 心肺停止
社会の複雑化と共に鬱病の罹患者も増加領向にある. 当センターでは最近3年間に188例の向精神薬による急性薬物中毒を経験しそのうち2例がCPA-OAであったがCPRにて心拍再開し, 1例は予後良好な経過を辿り社会復帰したので報告する. 症例1は52歳女性. 既往に神経症てんかん型ヒステリーがあり大学病院精神科に外来通院中であった. 自殺企図にてアルコールで処方薬を大量服用し意識消失しているところを家族に発見され当院に搬送となった. 来院時CPAで瞳孔左右6mm(対光反射消失). 体温33.5℃と低体温で内服から発見までの時間は不明であった. 病院着後28分で心拍再開. 続いてDHPを同日2回,...
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Veröffentlicht in: | 蘇生 2002, Vol.21 (3), p.206-206 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 社会の複雑化と共に鬱病の罹患者も増加領向にある. 当センターでは最近3年間に188例の向精神薬による急性薬物中毒を経験しそのうち2例がCPA-OAであったがCPRにて心拍再開し, 1例は予後良好な経過を辿り社会復帰したので報告する. 症例1は52歳女性. 既往に神経症てんかん型ヒステリーがあり大学病院精神科に外来通院中であった. 自殺企図にてアルコールで処方薬を大量服用し意識消失しているところを家族に発見され当院に搬送となった. 来院時CPAで瞳孔左右6mm(対光反射消失). 体温33.5℃と低体温で内服から発見までの時間は不明であった. 病院着後28分で心拍再開. 続いてDHPを同日2回, 翌日1回計3回施行した. 搬入36時間後には瞳孔左右4mmとなり対光反射自発呼吸を認めた. 41時間後には人工呼吸器より離脱し意識清明となり第3病日に神経症状に異常を残さず精神的な経過観察目的で転院となった. 症倒2は35歳男性. 既往に鬱病てんかん発作があり自宅近くの精神科に外来通院中であった. 夜間に処方薬を大量服用し翌朝起こしても反応がないため家族により救急要請となった. 内服から発見までの時間は不明であり救急隊到着時は意識レベルIII-200呼吸18回/分脈拍96回/分血圧150/70mmHg. 瞳孔左右2mm対光反射微弱であった. 救急搬送途中に心肺停止となったがCPRにて病着後18分で心拍再開した. 来院時の尿トライエージキットの結果よりパルビツレートが強陽性で検出されHPLCによる定量では中毒量の1.5倍であった. 蘇生後10時間で対光反射, 自発呼吸が出現した. 48時間後の脳波は棘波の混在した低振幅徐波でABRはI-V波まで認められた. 第3病日の頭部MRI検査では低酸素脳症による低吸収域と脳浮腫を認めた. 意識レベルは来院時III-300であったが第7病日にはII-30まで回復し第10病日には経過観察目的で一般病棟に転出となった. 今回症例1では 1. 心肺停止の時間が不明であり実際の心停止時間は短かった可能性 2. 薬剤(ベンゾジアピン系)による脳組織酸素代謝の低下および低体温状態における脳保護作用. 症例2では 1. パイスタンダー(救急隊)の心肺蘇生行為 2. 薬剤(バルビツール系薬物)による脳組織酸素代謝の低下による脳保護作用が蘇生し得た要因と考えられた. 向精神薬大量投薬により心抑制CPAを来すケースは比較的稀である. 同病態においては現場からの適切なCPRの実施と来院後の迅速なDHP導入, 大量輸液利尿による排泄促進, 厳重な呼吸管理などの集中治療により十分予後が期待できる. |
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ISSN: | 0288-4348 |