大量出血症例におけるDDGアナライザー(R)の使用経験

DDGアナライザー(R)は, 色素希釈法により非観血的に心拍出量(CO), 循環血液量(BV)などを測定できる装置で, 近年臨床に用いられるようになった. 今回我々は, 大量出血となった肝切除術症例に対し, DDGアナライザー(R)を使用したので報告する. 症例は, 71才の男性. 約10年前より慢性肝炎にてフォローされていたが, 肝腫瘤を指摘され, 精査により肝硬変及び肝細胞癌疑いにて手術日的に本学外科へ紹介された. 既往歴は, 20才代に気管支拡張症. 術前検査では, 貧血, 閉塞性呼吸障害, HCV抗体陽性で軽度肝機能低下を認めた. 麻酔は, 笑気, 酸素, プロポフォールに胸部硬膜外麻...

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Hauptverfasser: 諸岡威, 下川充, 北口勝康, 古家仁
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:DDGアナライザー(R)は, 色素希釈法により非観血的に心拍出量(CO), 循環血液量(BV)などを測定できる装置で, 近年臨床に用いられるようになった. 今回我々は, 大量出血となった肝切除術症例に対し, DDGアナライザー(R)を使用したので報告する. 症例は, 71才の男性. 約10年前より慢性肝炎にてフォローされていたが, 肝腫瘤を指摘され, 精査により肝硬変及び肝細胞癌疑いにて手術日的に本学外科へ紹介された. 既往歴は, 20才代に気管支拡張症. 術前検査では, 貧血, 閉塞性呼吸障害, HCV抗体陽性で軽度肝機能低下を認めた. 麻酔は, 笑気, 酸素, プロポフォールに胸部硬膜外麻酔併用でおこない, 肝血流増加目的に, 少量のドパミンとプロスタグランディンE1の持続静注を術前より開始した. 手術開始後安定時でのCOは5.68リットル/min, BVは4.4リットル, , Hbは10.4g/dlであった. 手術開始1時間半後に, 肝静脈から15分間で約1500mlの出血を認め, ドパミンの増量と加熱アルブミン製剤を開始, 続いてMAPの輸血も開始した. MAP開始直前のCOは8.51リットル/min, BVは4.48リットル, Hbは7.1g/dlであった. その後も止血操作に難渋し, 約6000ml出血の時点での, COは4.38リットル/min, BVは3.27リットル, Hbは7.3g/dlであった. 最終出血量は7200mlで, 閉腹時にはドパミンも3μg/kg/minまで減量し, COは5.89リットル/min, BVは3.44リットル, Hbは8.6g/dlであった. 手術時間は4時間50分, 輸血はアルブミン製剤込みで9260ml, 輸液量2450ml, 尿量1590mlであった. 従来CO測定にはSwan-Ganzカテーテルが必要であったが, DDGアナライザー(R)は非観血的であり, また色素注入という簡便な手技により測定が可能である. 従って今回のような予期せぬ大量出血症例にも緊急に対応ができ, 動脈血液ガスと組み合わせて酸素運搬を考慮に入れた綿密な麻酔管理ができ有用と考えられた.
ISSN:0288-4348