一過性脊髄虚血後において高気圧酸素療法(HBO)がnNOSの誘導に及ぼす影響
(目的)大動脈遮断後の術後合併症として, 脊髄虚血に起因する下肢対麻痺が挙げられる. 近年, 一過性脳虚血後と同様に, 一過性脊髄虚血後にも遅発性神経細胞死が惹起され, この現象にNOが深く関与していることが報告されている. また, これまでの報告では, HBOにより神経学的な改善が得られるとする報告が多い. 今回われわれは, 一過性脊髄虚血後の脊髄前角運動神経細胞において, HBOがnNOSの誘導に及ぼす影響を検討した. (対象と方法)対象は日本白色系兎24匹とした. 自発呼吸下に, 酸素・笑気・ハロセンで麻酔した後, 右大腿動脈より, 5Frのスワン・ガンツ・カテーテルを挿入し, 先端のバ...
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Zusammenfassung: | (目的)大動脈遮断後の術後合併症として, 脊髄虚血に起因する下肢対麻痺が挙げられる. 近年, 一過性脳虚血後と同様に, 一過性脊髄虚血後にも遅発性神経細胞死が惹起され, この現象にNOが深く関与していることが報告されている. また, これまでの報告では, HBOにより神経学的な改善が得られるとする報告が多い. 今回われわれは, 一過性脊髄虚血後の脊髄前角運動神経細胞において, HBOがnNOSの誘導に及ぼす影響を検討した. (対象と方法)対象は日本白色系兎24匹とした. 自発呼吸下に, 酸素・笑気・ハロセンで麻酔した後, 右大腿動脈より, 5Frのスワン・ガンツ・カテーテルを挿入し, 先端のバルーンを膨らませ, 15分間の一過性脊髄虚血を誘発させた. 処置中は直腸温を37~38℃に維持した. 対象をまず, 以下の2群に分類した. A群:虚血後30分でHBO(絶対3気圧(3ATA), 1時間)を施行, B群:HBO無施行. つぎに, 脊髄を取り出す時間によって, 両群を以下の8群に細分類した. 8時間後(A-8群, B-8群), 24時間後(A-24群, B-24群), 48時間後(A-48群, B-48群), 7日後(A-7日群, B-7日群). 取り出した脊髄をL2/3レベルで切り出し, -80℃で約2週間保存した後, これらの組織切片を一次抗体(nNOS), ビオチン化二次抗体及びアビジン-ビオチン化酵素複合体(ABC法)を用い, 免疫組織学的に, 各切片が, nNOSの抗体で染色されるか否かを検討した. (結果)A群は, B群と比較して, nNOSの発現に差異を認めなかった. 両群とも, 8時間後よりnNOSの発現が認められ, 24時間後をピークとしたが, 7日後には, nNOSの発現は認められなかった. (結論)脊髄虚血後短時間でHBOに導入しても, nNOSの発現に差を認めなかった. 以前報告したように, A群が神経学的な改善を認めたのに比し, B群は下肢対麻痺に至ったことを考慮すると, HBOの効果は, NO発現以降に作用点が存在する可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0288-4348 |