エンドトキシン持続投与時の肝組織内酸素化状態の変化
エンドトキシン血症における肝臓の組織内酸素代謝障害の過程については未だ不明な点が多い. 今回, 我々はエンドトキシン投与時の肝の酸素需給バランスと肝組織内酸素化状態の経時的変化を評価したので報告する. 〔対象と方法〕25~30kgのSPFブタ10頭を用い, イソフルラン麻酔下に開腹後, ドップラー血流計により肝動脈・門脈血流量を, 熱希釈法により心拍出量を測定し, 内頚動脈, 肺動脈, 門脈, 肝静脈よりそれぞれ採血を行った. また, 肝組織内酸素化状態を測定するため近赤外分光測定用プローベを肝表面に装着し, 酸素化型Hb(oxy-Hb), 脱酸素化型Hb(deoxy-Hb), ミトコンドリア...
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Zusammenfassung: | エンドトキシン血症における肝臓の組織内酸素代謝障害の過程については未だ不明な点が多い. 今回, 我々はエンドトキシン投与時の肝の酸素需給バランスと肝組織内酸素化状態の経時的変化を評価したので報告する. 〔対象と方法〕25~30kgのSPFブタ10頭を用い, イソフルラン麻酔下に開腹後, ドップラー血流計により肝動脈・門脈血流量を, 熱希釈法により心拍出量を測定し, 内頚動脈, 肺動脈, 門脈, 肝静脈よりそれぞれ採血を行った. また, 肝組織内酸素化状態を測定するため近赤外分光測定用プローベを肝表面に装着し, 酸素化型Hb(oxy-Hb), 脱酸素化型Hb(deoxy-Hb), ミトコンドリア内チトクロームオキシダーゼ(cyt.ox.)の変化を連続的に測定した. エンドトキシンは, 門脈内カテーテルより持続的に投与した(1.7μg/kg/hr). 〔結果〕エンドトキシンの門脈内持続投与により, 肝血流量と肝組織の酸素化状態は次の3段階の変化を示した. まず, 肝動脈血流量と門脈血流量が減少し, それに伴いoxy-Hbが減少する第1段階. 次に, 門脈血流量の減少に対し代償的に肝動脈血流量が増加(buffer response)し, oxy-Hbが著明に増加する第2段階. 最後に, 増加していた肝動脈血流量が急激に低下し, oxy-Hbの減少とcyt.ox.の還元化が開始される第3段階であった. 〔考察〕エンドトキシンの持続投与による肝組織の酸素化状態の悪化は肝動脈のbuffer responseにより一時的に改善したが, その反応の消失とともに急激に悪化しcyt.ox.の還元が認められた. このことより, エンドトキシン血症時にはbuffer responseの消失とともに重篤な肝組織酸素代謝障害が始まることが示唆された. |
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ISSN: | 0288-4348 |