麻酔導入時の挿管困難により判明したTracheobronchophathia Osteochondroplasticaの一例
Tracheobronchophathia Osteochondroplastica(以下TO)は気管・気管支に骨・軟骨組織が異常増殖して内腔の隆起を形成するまれな疾患で, 欧米で約370例, 本邦で約140例の報告があるのみである. 今回, 麻酔導入時の挿管困難からTOと判明した症例を経験した. 〔症例〕 68歳女性. 盲腸癌に対し腹腔鏡下回盲部切除術が予定された. 近医(耳鼻科)において喉咽頭の違和感に対し咽頭ファイバーを施行され, 気管は細いが悪性所見はないと指摘された既往があった. 理学所見上, 上気道狭窄の所見がなく, 胸部X線写真(正面)上も明らかな狭窄を認めなかった. 通常の気管...
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Veröffentlicht in: | 蘇生 1999, Vol.18 (3), p.225-225 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | Tracheobronchophathia Osteochondroplastica(以下TO)は気管・気管支に骨・軟骨組織が異常増殖して内腔の隆起を形成するまれな疾患で, 欧米で約370例, 本邦で約140例の報告があるのみである. 今回, 麻酔導入時の挿管困難からTOと判明した症例を経験した. 〔症例〕 68歳女性. 盲腸癌に対し腹腔鏡下回盲部切除術が予定された. 近医(耳鼻科)において喉咽頭の違和感に対し咽頭ファイバーを施行され, 気管は細いが悪性所見はないと指摘された既往があった. 理学所見上, 上気道狭窄の所見がなく, 胸部X線写真(正面)上も明らかな狭窄を認めなかった. 通常の気管挿管は可能と判断し, 予定通り手術を行うこととした. プロポフォール30mg, ミダゾラム21mg, ベクロニウム7mgで導入後, 喉頭展開して径8mmの挿管チューブで気管挿管を試みたところ, 声門を通過したのち声門下で硬い異物にあたる感触があり, 挿管チューブが挿入不能であった. 6mmまでチューブサイズを下げてもこの感触と挿管不能は変わらなかったため, ラリンジアルマスクで気道確保し, 気管支ファイバーで観察した. 声門直下で前方から気管壁が著明に突出しており, 気管分岐部まで続く気管壁の敷石状の隆起が判明した. 挿管不能と判断して手術を中止し, 後日あらためて精査を行った. 頚部軟線撮影と頚・胸部CTにおいて, 輪状軟骨から第2気管輪にかけて前方からの石灰化した突出と広値囲にわたる気管の石灰化を認め, 形態上, TOと診断された. 8日後に回盲部切除術(開腹)を硬膜外麻酔で施行し, 手術を無事終了した. 〔考察〕 術後, 再度患者に確認すると, 頚部CTも他院で施行されており, TOと診断されていたことが判明した. 咽頭ファイバーを受けていた既往を重視して頚部軟線撮影などを術前に施行するべきであったと反省すると共に, まれな疾病を有する患者の教育が大切であると痛感した. |
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ISSN: | 0288-4348 |