外傷性胸部圧迫症(traumatic asphyxia)の1蘇生例
外傷性胸部圧迫症(traumatic asphyxia)による心肺停止の救命例を経験したので文献的考察を加え報告する. 症例:59歳, 男性. 心肺停止(CPA). 現病歴:平成10年2月17日, 職場においてフォークリフトを運転中横転し下敷きになっているところを同僚に発見された. 受傷から発見までの詳細は不明. 発見時呼吸停止, 脈拍は微弱で脈拍数は不明であった. ただちにbystanderにより心臓マッサージが施行されたが, 人工呼吸は行なわれなかった. 発見から7分後の救急隊到着時, 呼吸停止, 脈拍触知せず, アンビューバッグによる人工呼吸, 心臓マッサージ等施行され, その12分後近...
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Format: | Tagungsbericht |
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Zusammenfassung: | 外傷性胸部圧迫症(traumatic asphyxia)による心肺停止の救命例を経験したので文献的考察を加え報告する. 症例:59歳, 男性. 心肺停止(CPA). 現病歴:平成10年2月17日, 職場においてフォークリフトを運転中横転し下敷きになっているところを同僚に発見された. 受傷から発見までの詳細は不明. 発見時呼吸停止, 脈拍は微弱で脈拍数は不明であった. ただちにbystanderにより心臓マッサージが施行されたが, 人工呼吸は行なわれなかった. 発見から7分後の救急隊到着時, 呼吸停止, 脈拍触知せず, アンビューバッグによる人工呼吸, 心臓マッサージ等施行され, その12分後近医搬入. 近医搬入時意識レベルJCS300, 心停止, 呼吸停止であり, 直ちに気管内挿管などのCPRにより心拍再開し, 当センター搬入となった. 搬入時現症および検査所見:意識レベルJCS200, 心拍数72/min., 血圧130/66mmHg(dopamin 4μg/kg/min投与下), 呼吸は気管内挿管下の人工呼吸で, 自発呼吸有無は明らかでなかった. 血液ガス所見(発見より109分後)はpH7.531, PaO_2 161.5, PaCO_2 35.5, HCO_3 ^- 29.6, BE 7.0, SaO_2 99.4であった. 上胸部, 顔面に溢血斑を, 両眼球に結膜下出血を認めた. 瞳孔は左右2mm, 対光反射は微弱であった. 胸部X線検査では両側気胸, 両側肺挫傷, 肋骨々折を認めた. 入院後経過:両側気胸に対し両側胸腔ドレナージを施行し, 胸部外傷があるためnomothemiaによる体温管理, 輸液管理, マンニトールの投与, PaCO_2 のコントロールほかを行なった. 搬入翌日に行なった脳波検査ではα波優位の所見を認めた. 搬入後は頭部CTにおいても特に脳腫張等認めず, 第5病日には意識レベルはJCS3に改善した. 第10病日には人工呼吸器より離脱した. その後は, 嗄声, 発声障害等の軽い声帯麻痺, 右上肢の軽度運動障害, 内旋障害, 筋力低下(6段階表示にて3)を認めていた. 第21病日には記銘力障害, 記憶力障害を認めるものの意識レベルJCS2まで改善し転院となった. 現在は事故前後2ヶ月の記憶がないほかは身体的にもほぼ全快した状態である. 結語:本症例では7分間のbystanderによる心臓マッサージが胸部圧迫式人工呼吸の役割も果たし, 救命の要因になったのではないかと考えられた. |
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ISSN: | 0288-4348 |