分娩後子宮破裂による大量出血症例の周術期管理
分娩後子宮破裂による大量出血症例の周術期管理に, 血液凝固・血小板機能分析装置“ソノクロット(R)”を用いたので報告する. 症例は妊娠37週の41才女性. 近産院へ搬送途中に墜落分娩, その後大量出血が持続しショック状態で当院産科へ緊急搬送された. 救急外来で心停止となったが数分で蘇生し, 子宮破裂の疑いで緊急子宮全摘術となった. 手術室入室時は急速輸血により循環は安定し, 亜酸化窒素・酸素・セボフルランで麻酔を開始した. この時のHbは5.0mg/dl, Htは15%. 血小板は2万/mlで, ソノクロットでの止血機能は完全に消失していた. 手術開始後は血圧が低下し, 急速輸血に加えアドレナ...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 蘇生 1998, Vol.17 (3), p.216-216 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 分娩後子宮破裂による大量出血症例の周術期管理に, 血液凝固・血小板機能分析装置“ソノクロット(R)”を用いたので報告する. 症例は妊娠37週の41才女性. 近産院へ搬送途中に墜落分娩, その後大量出血が持続しショック状態で当院産科へ緊急搬送された. 救急外来で心停止となったが数分で蘇生し, 子宮破裂の疑いで緊急子宮全摘術となった. 手術室入室時は急速輸血により循環は安定し, 亜酸化窒素・酸素・セボフルランで麻酔を開始した. この時のHbは5.0mg/dl, Htは15%. 血小板は2万/mlで, ソノクロットでの止血機能は完全に消失していた. 手術開始後は血圧が低下し, 急速輸血に加えアドレナリンの持続投与が必要であったが, 子宮摘出後の循環は安定した. 止血操作にも難渋はしたが, 血小板・凍結血漿投与により止血可能となった. 手術終了時の血小板数は6万/mlで, ソノクロットでは弱いながらもクロット凝集と血小板機能を認めた. 術後は, DICの治療と多臓器不全予防のためICUに入室した. 当日夕に再び血小板と凍結血漿を投与し, 血小板数は9.9万/mlとなり, ソノクロットでの凝固血小板機能は正常に近づいた. 術後1日目の午前中までは少量輸血により循環は保てたが, 昼頃から創部ガーゼの出血が著明となり, 再び急速輸血が必要となった. この時の血小板数は8.6万/mlであったが, ソノクロットでの血小板機能は明らかに減弱していた. 同日夜の血小板数は6万/mlで, ソノクロットの凝固機能は低下し血小板機能は消失していたため, 深夜と早朝に血小板・凍結血漿を投与した. この24時間の輸血量は7500mlにのぼった. 術後2日目の朝からは再び少量の輸血で循環を維持することができるようになり, この時の血小板数は8万/ml, ソノクロットでの凝固・血小板機能も弱いながらも回復していた. さらに夕の血小板投与後は血小板数11万/ml, ソノクロットでの凝固・血小板機能は完全に回復した. その後は急速輸血の必要なく経過し, 数日間の持続的血液激過透析は必要であったが無事にICUを退室した. 大量出血症例の周術期の止血機能検査及び治療において, ソノクロットは有用であった. |
---|---|
ISSN: | 0288-4348 |