クモ膜下出血後の血中, 及び髄液中のCNP(C-type Na利尿ペプチド)の変化

クモ膜下出血(SAH)患者管理においては, 脳血管れん縮の予防, 治療は重要であるが, その機序については不明な点も多い. 心房性Na利尿ペプチド(ANP)がスパズムの時期に増加するとの報告は多いが, C-type Na利尿ペプチド(CNP)についての報告は少ない. そこで今回我々はSAH発症後の血漿, 及び髄液中のCNP濃度を経時的に測定し, 若干の知見を得たので報告する. 対象と方法:対象は当センターICUへ入室したSAH患者10例であり, 心, 腎疾患のある患者は除外した. 全例SAH発症48時間以内にクリッピング術を施行し, 第3病日より脳血管れん縮予防の為にhypervolemic,...

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Hauptverfasser: 池田一美, 星野伸二, 成田英之, 亀井俊郎, 金子英人, 松尾麗子, 近江明文, 池田寿昭, 石井脩夫
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:クモ膜下出血(SAH)患者管理においては, 脳血管れん縮の予防, 治療は重要であるが, その機序については不明な点も多い. 心房性Na利尿ペプチド(ANP)がスパズムの時期に増加するとの報告は多いが, C-type Na利尿ペプチド(CNP)についての報告は少ない. そこで今回我々はSAH発症後の血漿, 及び髄液中のCNP濃度を経時的に測定し, 若干の知見を得たので報告する. 対象と方法:対象は当センターICUへ入室したSAH患者10例であり, 心, 腎疾患のある患者は除外した. 全例SAH発症48時間以内にクリッピング術を施行し, 第3病日より脳血管れん縮予防の為にhypervolemic, hypertensive therapyを施行した. SAH発症第1, 3, 7病日に橈骨動脈カテーテルより採血をして, 同じく脳室, 又は脳槽ドレインより髄液を採取して, 各々CNP濃度を測定した. (RIA2抗体法)また, 対照群として腰椎麻酔を受けた健康成人10例の髄液中CNP濃度も測定した. 測定値はmean±SDで示し, 第1病日の値を対照値としてstudent-t検定により有意差検定を行った. (p < 0.05) 結果:血漿中CNP濃度には有意の変化は無かった. 対照群の髄液中CNP濃度は13.1±2.4pg/mlであり, 第1病日は15.0±4.8pg/ml, 才3病日は15.1±39pg/mlとやや高値を示し, 才7病日には10.8±2.5pg/mlと有意に低下した. 考察及び結語:CNPは新しく発見されたNa利尿ペプチドであり, 海馬, 松果体, 視床下部, 大脳辺緑系に高濃度に存在することから中枢神経系のNa利尿を調節しているとの報告もある. 今回の結果では血漿中CNPには有意の変化は無かったが, 髄液中CNPはやや高値を示しており, CNPがスパズムに関与している可能性が示唆された.
ISSN:0288-4348