脳蘇生後のモニタリング
心肺蘇生後は, 1)虚血再灌流障害によるfree radical reaction, 2)inflammationによる二次的な臓器障害, 3)Ca^2+ による細胞障害, 4)組織酸素代謝障害などが蘇生後の病態形成に関与していると考えられている. しかし, これらの因子を心肺蘇生中からモニタリングすることは困難である. 一方, 急性硬膜下血腫(ASDH)も同様な病態を含んでいるが, その経緯をモニタリングすることは可能である. そこで我々は, ASDHの心肺・脳機能ならびに酸素代謝・humoral mediatorを測定し検討した. 〔対象, 方法〕GCS3~5のASDH 10例を対象とし,...
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Veröffentlicht in: | 蘇生 1998, Vol.17 (3), p.210-210 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 心肺蘇生後は, 1)虚血再灌流障害によるfree radical reaction, 2)inflammationによる二次的な臓器障害, 3)Ca^2+ による細胞障害, 4)組織酸素代謝障害などが蘇生後の病態形成に関与していると考えられている. しかし, これらの因子を心肺蘇生中からモニタリングすることは困難である. 一方, 急性硬膜下血腫(ASDH)も同様な病態を含んでいるが, その経緯をモニタリングすることは可能である. そこで我々は, ASDHの心肺・脳機能ならびに酸素代謝・humoral mediatorを測定し検討した. 〔対象, 方法〕GCS3~5のASDH 10例を対象とし, 脳死に陥り死亡した5例をA群, 救命しえた症例5例をB群とした. これらの症例に対して脳機能モニターとしてICP, CPP, MABP, 内頚静脈酸素飽和度(SjO_2 )を, 循環動態モニターとしてC.I., CVP, SVRI, PA連続測定した. 酸素代謝動態は酸素運搬量係数(DO_2 I), 酸素消費量係数(VO_2 I)とPCO_2 gapを, Humoral mediatorとしてIL-6, IL-8, (髄液と末梢血)ICAM-1, 顆粒球エラスターゼ(内頚静脈血と末梢血)を測定した. 呼吸管理にはkinetic therapyを行い, 生理学的死腔率(PDS)を測定した. 〔結果〕A群:ICPは早期より上昇し48時間以内に脳死に陥った. SjO_2 も早期から80%以上に上昇した. DO_2 I, VO_2 Iは低位が続き, DO_2 Iを上昇させてもVO_2 Iは改善せず, PCO_2 gapも受傷直後から8mmHg以上が持続した. Inflammatory cytokine, 接着分子, 顆粒球エラスターゼ, PDSも時間経過とともに上昇し続けた. B群:ICPは25mmHg以下にコントロールされ, SjO2は急性期にはrelative ischemiaを示したが, 24時間以降は正常化した. DO_2 I, VO_2 Iはほぼ正常範囲で推移し, DO_2 Iの増加につれてVO_2 Iも増加した. PCO_2 gapは1週間以内に正常化し, inflammatory cytokine, 接着分子, 顆粒球エラスターゼも1週間後には正常となった. PDSは入院直後から有意な変化を示さなかった. 〔結語〕脳蘇生できない症例では, 脳を基点とした酸素代謝障害, SIRSが持続しMODSとなるが, 脳蘇生される症例では, 酸素代謝障害, SIRSの発生は一過性であることが明らかとなった. 即ち, 心肺・脳蘇生を行うためには, 原疾患の治療とともに, 組織酸素代謝とinflammationを適正にコントロールすることが重要といえる. |
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ISSN: | 0288-4348 |