剖検によって診断が確定した出血性ショックの2症例
発症当初の診断とは異なる出血性ショックから蘇生できず死亡し, 剖検及び手術所見によって, 当初の診断と全く異なった原因が判明した2症例を経験した. 〔症例1〕79歳, 女性. 変形性膝関節症, 下肢深部静脈血栓症の既往歴あり. 食欲低下, 吐血にて, 当院外科に緊急入院し, 胃潰瘍の診断で経過観察されていた. 第7病日, 大量吐血, 意識低下, 血圧低下にてICUに搬送された. ICU搬入直後, 再度, 大量吐血し大腿動脈触知不能となりCPR開始. カテコラミン大量投与, 大量輸血を行ったが, 一時Hbは2.6g/dlまで低下し, 治療に反応せず死亡した. 剖検後, 胸部大動脈瘤の食道への穿孔...
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Zusammenfassung: | 発症当初の診断とは異なる出血性ショックから蘇生できず死亡し, 剖検及び手術所見によって, 当初の診断と全く異なった原因が判明した2症例を経験した. 〔症例1〕79歳, 女性. 変形性膝関節症, 下肢深部静脈血栓症の既往歴あり. 食欲低下, 吐血にて, 当院外科に緊急入院し, 胃潰瘍の診断で経過観察されていた. 第7病日, 大量吐血, 意識低下, 血圧低下にてICUに搬送された. ICU搬入直後, 再度, 大量吐血し大腿動脈触知不能となりCPR開始. カテコラミン大量投与, 大量輸血を行ったが, 一時Hbは2.6g/dlまで低下し, 治療に反応せず死亡した. 剖検後, 胸部大動脈瘤の食道への穿孔が確認された. 〔症例2〕54歳, 男性, 左肺全摘術の既往歴あり. 歯科外来にて検査中, 呼吸困難, 血圧低下にて, 肺塞栓症を疑いICUに搬送された. ICU搬入直後, 意識低下, 脈拍触知できず, CPR開始. 気道内からの出血, 吐血にてHbは2.0g/dlまで低下. カテコラミン大量投与にても脈拍触知せず. UCGにて胸腔内に血腫を認めた. 診断のため緊急CT施行, CT上は左横隔膜ヘルニア様の所見, 胃管挿入後出血を大量に認め, CPR行いつつ緊急手術を施行した. 術中, 胃潰瘍から大動脈への穿通と判明し, 蘇生できず死亡した. 〔考察と結語〕以上の2症例は大血管の消化管への交通であり, ショック状態に陥ってからでは診断が確定したしても救命は困難であったと考えられたが, 状況によっては救命の可能性も考えられ, 初期の診断に注意が必要と考えられた. |
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ISSN: | 0288-4348 |