救命し得た肺梗塞患者の1例
食生活の欧米化により, 我が国でも肺梗塞症の発生率が増加しているといわれている. 今回, 我々は労作時に発症した血栓による肺梗塞症患者を救命し得たので報告する. 〈症例〉57歳, 女性. 買い物の途中, 階段を昇りかけた時, 突然, 息苦しさ, 呼吸困難を訴え救急車にて来院20日前にも階段昇降中に息切れを生じたことあったが, その他には既往歴に特記すべき事項なし. 来院時, SpO280%, 収縮期血圧80mmHg, 心拍数140~150/分. E.C.G. でSIQ III, V1V2にSTの上昇, U.C.Gにて著明な右心負荷を認め, 肺梗塞が強く疑われた. ただちに気管内挿管・呼吸管理が...
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Zusammenfassung: | 食生活の欧米化により, 我が国でも肺梗塞症の発生率が増加しているといわれている. 今回, 我々は労作時に発症した血栓による肺梗塞症患者を救命し得たので報告する. 〈症例〉57歳, 女性. 買い物の途中, 階段を昇りかけた時, 突然, 息苦しさ, 呼吸困難を訴え救急車にて来院20日前にも階段昇降中に息切れを生じたことあったが, その他には既往歴に特記すべき事項なし. 来院時, SpO280%, 収縮期血圧80mmHg, 心拍数140~150/分. E.C.G. でSIQ III, V1V2にSTの上昇, U.C.Gにて著明な右心負荷を認め, 肺梗塞が強く疑われた. ただちに気管内挿管・呼吸管理が行われた. 続いて施行された緊急肺動脈カテーテル検査では肺動脈圧の上昇および両肺動脈に陰影欠損が認められた. そこで, ウロキナーゼによる血栓溶解療法, 経皮カテーテル血栓吸引療法を行ったが有効ではなかった. 次にPCPSの使用が試みられたが, 右大腿動脈の内腔が狭く, PCPSを途中で断念し, 緊急に外科的塞栓除去術を行うことになった. 手術室に到着時, 脈拍が触れず, 意識レベルは3-3-9度方式で100, 対光反射が消失していた. そこで, ただちにを非開胸心マッサージを施行した. 間もなく心拍が再開したので, フェニレフリンとドーパミンにて血圧を維持し手術を開始した. その際CVPは約15~18mmHgと高値を示していた. 体外循環を開始するまでは100% O2, フェンタニール, ミダゾラム, ベクロニウムの投与により麻酔を維持した. 体外循環の開始により血液の酸素化能は著明に改善された. 肺動脈より血栓(血栓総量6グラム)除去を終了し, 気管内挿管のままICUへ帰室した. 第1病日には気管内チューブを抜去し, 第2病日には歩行可能となり, 一般病棟へ移送した. そして幸いにも, 何らの後遺症も残らなかった. 〈結語〉肺塞栓症は, 肺水腫など他の疾患との鑑別が困難な場合も多く, 確定診断には肺動脈造影などの特異検査を要する事も少なくない. 本症例は, 重篤ではあったが, 受診から検査, 診断までを短時間で済ませ, すみやかに体外循環に移行し, 血栓除去が出来たことにより救命し得たと考えられる. |
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ISSN: | 0288-4348 |