hypodynamic shockを呈したエンドトキシン血症に対して, PMX, steroid, adrenaline併用療法が著効した腹膜炎術後の1症例
我々はエンドトキシン(ET)またはグラム陰性菌に起因するseptic shockに対するET吸着療法(PMX療法)の有効性を報告してきた. しかしhypodynamic stateに対するPMX療法の有用性に関しては講論のあるところである. 今回我々hypodynamic stateから急速にhypodynamic stateに陥った開腹ドレナージ術後のET血症に対して, PMX, steroid, adrenalineの併用療法が著効した症例を経験したので報告する. 〔症例〕65歳男性. 胆石に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術後に汎発性腹膜炎によりseptic shockをきたし, 開腹ドレナージ施...
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Zusammenfassung: | 我々はエンドトキシン(ET)またはグラム陰性菌に起因するseptic shockに対するET吸着療法(PMX療法)の有効性を報告してきた. しかしhypodynamic stateに対するPMX療法の有用性に関しては講論のあるところである. 今回我々hypodynamic stateから急速にhypodynamic stateに陥った開腹ドレナージ術後のET血症に対して, PMX, steroid, adrenalineの併用療法が著効した症例を経験したので報告する. 〔症例〕65歳男性. 胆石に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術後に汎発性腹膜炎によりseptic shockをきたし, 開腹ドレナージ施行するもshockより離脱できず, 10時間後にICU入室(APACHE-II score:31, Goriss score:10). 入室前にはdopamine 7μg/kg/min, noradrenaline 0.2μg/kg/min投与下でもhypodynamics state(CI:4.0リットル/min/平方メートル, SVRI:1200dyne・sec・cm^-5 ・m^-2 , SvO_2 :76%)を呈していたため, PMXを準備していたが, 入室時には急速にhypodynamic state(CI:2.0リットル/min/平方メートル, SVRI:2035dyne・sec・cm^-5 ・m^-2 , SvO_2 :48%)に陥っていた. 心エコーではLV wall motionのdiffuse hypodkinesisを呈し, EFは38%と心収縮力の低下が認められた. 血中ET除去を目的にPMXを2時間施行するとともに, adrenaline 0.1μg/kg/minの持続投与, methylpredonisolone(MPS)1gの単回投与および持続投与を行った. 三者併用療法開始直後より, CI, SvO_2 の上昇を認め, PMX終了時にはCI:3.9リットル/min/平方メートル, SvO_2 が78%と改善がみられた. olprinoneの併用によりadrenalineを漸減, 開始8時間後には離脱が可能となった. その後はhypodynamic stateを呈することなく順調に回復し, 第21病日一般病棟退室となった. PMX施行前後の血中ET濃度(Toxinometer-ES法)は, 12pg/mLからPMX 2時間施行後には5pg/mLと減少し, 翌日には検出されなかった. 血液培養から菌は検出されず, 術中の採取腹水からは緑膿菌が検出された. 〔結語〕腹膜炎術後, 急速にhypodynamic stateに陥ったET血症に対して, steroid, adrenaline併用下にPMX療法を施行し, 血行動態の著明な改善を得ることができた症例を経験した. |
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ISSN: | 0288-4348 |