高圧酸素療法の減圧中に著明な低酸素血症をきたした気道熱傷の一例
急性CO中毒に対する治療として高圧酸素療法が効果的であるとされている. 一方, 気道熱傷併発時, 血中酸素分圧は受傷直後には高値でも, 数時間後に低下することが多い. 今回当施設で, 高圧酸素症法の減圧中に著明な低酸素血症をきたした気道熱傷とCO中毒の合併例を経験したので報告する. 症例は28歳女性. 火災現場に倒れているところを発見された. 某救命救急センター到着時意識レベルはJCS 100で自発呼吸が認められ, O2 10リットル/分マスクでPaO_2 374.3mmHg, PaCO_2 28.1mmHgであった. またCOHb値は36.2%で, 顔面及び四肢に煤が付着し9%のI~II度の...
Gespeichert in:
1. Verfasser: | |
---|---|
Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 急性CO中毒に対する治療として高圧酸素療法が効果的であるとされている. 一方, 気道熱傷併発時, 血中酸素分圧は受傷直後には高値でも, 数時間後に低下することが多い. 今回当施設で, 高圧酸素症法の減圧中に著明な低酸素血症をきたした気道熱傷とCO中毒の合併例を経験したので報告する. 症例は28歳女性. 火災現場に倒れているところを発見された. 某救命救急センター到着時意識レベルはJCS 100で自発呼吸が認められ, O2 10リットル/分マスクでPaO_2 374.3mmHg, PaCO_2 28.1mmHgであった. またCOHb値は36.2%で, 顔面及び四肢に煤が付着し9%のI~II度の熱傷が認められた. 以上よりCO中毒, 気道熱傷, 四肢・顔面熱傷の診断のもと, 気管内挿管され, CO中毒に対する高圧酸素療法の目的で当院に緊急転院となった. 当院到着後(受傷約3時間後), 3気圧2時間の高圧酸素療法を施行した. 高圧酸素療法中は, 血圧, 脈拍, 心電図, 経皮的酸素飽和度をモニターし, ジャクソンリース回路にて100%酸素の吸入にて患者の自発呼吸を補助し, SpO_2 98-100%を維持していた. しかし減圧時よりSpO_2 が低下し始め, 一時SpO_2 60台と著明に低下し, 調節換気を行ったにもかかわらず以後70台であった. 高圧酸素療法終了後ICUにて測定した血液ガスではFiO_2 1.0で, PaO_2 58.7mmHgであった. COHb値は, 高圧酸素療法施行後(受傷約5.5時間後)には, 2.7%まで低下した. 翌日以降COHb値は正常値を維持したため, 以後は高圧酸素療法を施行しなかった. 気道熱傷に対する呼吸管理では, ICU入室後人工呼吸を継続して連日気管支ファイバーを施行し, 気道の清浄化, 感染防止, 呼吸機能の改善を計った. 受傷10日目には, PS 5cm H_2 O, FiO_2 0.4, PEEP 2cm H_2 OにてPaO_2 87mmHg, PaCO_2 40.9mmHgと改善し, 意識清明で自力喀痰排出可能であったので抜管した. 受傷11日目に紹介病院に再転院した. 結論 高圧酸素療法施行中は肺酸素化能の低下がマスクされるため, 減圧時に急激に低酸素血症が出現することがあり, 注意が必要である. |
---|---|
ISSN: | 0288-4348 |