歯学部学生に対する心肺蘇生術教育の現状とその評価
歯科治療は患者にとってストレスであり, 処置中に全身的な偶発症が発生することもまれではない. 東京歯科大学千葉病院では歯科麻酔科が管理を行ったものだけでも年平均約15例の救急症例が発生している. 救急患者は院内外来患者, 学生および一般教職員で, 手術室症例や入院患者は含まれていない. 偶発症は脳貧血様発作, 過換気症候群の発作など軽度のものが多かったが, 心停止などの重症の偶発症も少数ながらみられた. 歯科治療は基本的に外科処置であること, 種々の薬剤が使用されること, 内科的疾患を有する患者の歯科受診率が上昇していることなどから, 今後重篤な偶発症の発生が増加する可能性がある. 多くの歯科...
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Zusammenfassung: | 歯科治療は患者にとってストレスであり, 処置中に全身的な偶発症が発生することもまれではない. 東京歯科大学千葉病院では歯科麻酔科が管理を行ったものだけでも年平均約15例の救急症例が発生している. 救急患者は院内外来患者, 学生および一般教職員で, 手術室症例や入院患者は含まれていない. 偶発症は脳貧血様発作, 過換気症候群の発作など軽度のものが多かったが, 心停止などの重症の偶発症も少数ながらみられた. 歯科治療は基本的に外科処置であること, 種々の薬剤が使用されること, 内科的疾患を有する患者の歯科受診率が上昇していることなどから, 今後重篤な偶発症の発生が増加する可能性がある. 多くの歯科診療所では常勤歯科麻酔科医が不在である現状を考えると, 救急事態に直面した歯科医師は自分で問題に対処する必要があり, 救急処置教育の重要性は高い. 東京歯科大学では毎年, 歯学部登院学生(第6学年)を対象に口腔外科・歯科麻酔科の臨床実習期間中に心肺蘇生術のデモを実施している. [構成]指導をよく行き渡らせるため歯科麻酔科医局員のインストラクター1人に学生5~6人を1グループとする少人数制で行っている. [内容]所要時間は約1時間30分で, 始めにバイタルサインの正しいみかた, 救急蘇生のABCについての講義を行う. 二次救急処置に使用するエアウェイ, バッグマスク, 気管内チューブなどの器具と救急薬剤を提示して, その使い方を示す. 学生は実習期間中に手術室見学の機会があり, そこで救急薬剤の実際の使用方法を見学することができる. 講義後, 蘇生デモ用マネキン人形(アンブ社製)を使用して一次救急処置の実習を行う. 行っているのは頭部後屈あご先挙上法による気道確保, 呼気吹き込み人工呼吸, 閉胸式心マッサージで, 実習はインストラクターがマンツーマンで学生に指導する. [効果の検証]口頭試問により理解度の確認を行っている. さらに学生が実際に担当患者の救急事態に直面したときに, 正しく診断して行動できたかどうかをアンケートし, デモの効果を検証した. |
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ISSN: | 0288-4348 |