院内救急蘇生システムの4年間の運用状況

病院内で発生する心肺停止に対しては医師, 看護婦が対応するため一般的に蘇生率は高いと考えられる. しかし, 対応者の熟練度, 対処するシステムが各部署で異なるため蘇生率に差が生じる可能性がある. そこで当病院ではすべての心肺停止症例に対して有効な蘇生を実施するために, 院内救急蘇生システムを整備し, 1993年4月から運用しているので, 4年間の運用状況ならびに問題点について報告する. [運用体制]蘇生チームは循環器内科, 心臓外科, 脳神経外科, 小児外科, 救急部, 集中治療部, 麻酔科蘇生科の医師で構成される. 昼間3名, 夜間, 休日2名で編成され, 担当医師名は各診療科, 病棟に救急...

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Hauptverfasser: 川崎孝一, 小田利通, 吉村望
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:病院内で発生する心肺停止に対しては医師, 看護婦が対応するため一般的に蘇生率は高いと考えられる. しかし, 対応者の熟練度, 対処するシステムが各部署で異なるため蘇生率に差が生じる可能性がある. そこで当病院ではすべての心肺停止症例に対して有効な蘇生を実施するために, 院内救急蘇生システムを整備し, 1993年4月から運用しているので, 4年間の運用状況ならびに問題点について報告する. [運用体制]蘇生チームは循環器内科, 心臓外科, 脳神経外科, 小児外科, 救急部, 集中治療部, 麻酔科蘇生科の医師で構成される. 昼間3名, 夜間, 休日2名で編成され, 担当医師名は各診療科, 病棟に救急蘇生オンコール体制表として配布される. 緊急連絡は救急蘇生専用の電話回線を用いて行い, 夜間, 休日はさらに事務当直を介したポケットベル連絡を追加している. [運用状況](1)蘇生チームの運用:4年間に18例の発生があり, 14例が蘇生に成功した(8例が現在も生存). 緊急連絡から蘇生チーム到着までの時間は平均4.4分と迅速であり, 蘇生実施人数は平均6名であった. (2)心肺蘇生法の教育:病院内の医療従事者(医師, 看議婦, 技師, 他)を対象に毎年2回の心肺蘇生法の講習を実施した. 受講者数は1年間に200~300名であった. (3)院内救急蘇生委員会:毎月1回開催されており, 蘇生症例の報告, 運用における問題点, 救急用機器の整備などが検討されている. [運用における問題点](1)連絡体制:緊急連絡用の電話回線が, 多人数で同時会話が可能なため, 混線と判断されやすい. また, 新人の医師, 看議婦に対する連絡体制の徹底が不十分である. (2)機器, 薬剤の整備:救急カートに常備する薬剤, 器具を院内で統一し整備したが, 実際の蘇生実施にあたっては不足している場合が多かった. [まとめ]院内救急蘇生システムを運用し, 心肺停止症例の蘇生に有用であった. 連絡体制などに不十分な点もあり, 今後改善する必要があると考えられた.
ISSN:0288-4348