抜管後長時間の心停止にもかかわらず救命しえた高齢者の蘇生経験

口底部腫瘍手術の抜管後, 気道閉塞により長時間の心停止を生じたが, 蘇生術が奏功し高齢にもかかわらず無事退院し得た症例を経験した. 症例は85歳, 男性, 口底部腫瘍切除術, 下顎骨連続離断, 即時再建が予定された. 高血圧の既往がある. 急速導入による経鼻挿管後, GOS麻酔で維持し術中特に異常なく手術を終了した. 覚醒も極めて良好であったが, 口腔内に新たな出血部位が認められたので, 再度粘膜縫合を充分に行わせた. 外舌筋, 舌骨上筋群は殆ど切離していなかったので全覚醒と筋力の充分な回復を確認して抜管を行った. しかし途端に患者は重篤な呼吸困難に陥った. 直ちに再挿管を試みたが喉頭から咽頭...

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Hauptverfasser: 三島賢, 堀浩一朗, 小泉實意子, 菅井実, 林和人, 村上康郎, 松本延幸, 堀孝郎
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:口底部腫瘍手術の抜管後, 気道閉塞により長時間の心停止を生じたが, 蘇生術が奏功し高齢にもかかわらず無事退院し得た症例を経験した. 症例は85歳, 男性, 口底部腫瘍切除術, 下顎骨連続離断, 即時再建が予定された. 高血圧の既往がある. 急速導入による経鼻挿管後, GOS麻酔で維持し術中特に異常なく手術を終了した. 覚醒も極めて良好であったが, 口腔内に新たな出血部位が認められたので, 再度粘膜縫合を充分に行わせた. 外舌筋, 舌骨上筋群は殆ど切離していなかったので全覚醒と筋力の充分な回復を確認して抜管を行った. しかし途端に患者は重篤な呼吸困難に陥った. 直ちに再挿管を試みたが喉頭から咽頭部を覆う巨大な粘膜下血腫を思わせる腫瘤が認められ喉頭展開できなかった. 経鼻エアウェイ, ラリンゲルマスクでも気道確保できず, あえぎ呼吸下にマスクでO2を吸入させながら緊急気管切開を準備する間に心停止を生じた. 心マッサージとエピネフリン静注で一旦心拍は再開したが気管切開に手間取る内に再度心停止をきたした. 気管切開が完了し人工呼吸の開始と蘇生術により心拍は再開したがこの間40分以上経過していた. その後ICUに収容し集中管理によって数時間後には呼名に反応, 翌日には開眼するまでに回復した. 約1週間でICUから一般病棟に戻ることができ, 3ヶ月後顕著な後遺症を残さず退院した. 本症例の気道閉塞の原因について考察を加えると共に, 高齢かつ長時間の心停止にもかかわらず蘇生し得た要因の一つとして近年話題となっている“人工呼吸を行わない蘇生法”が奏功した可能性について検討を加えたい.
ISSN:0288-4348