ナロン錠(TH)大量服用による急性肝細胞壊死, DIC, 遷延性の意識障害の1症例
今回我々は, 市販のアセトアミノフェン(AC)配合製剤であるナロン錠(TH)を大量に服用し, その後, ショック, 急性肝細胞壊死, DIC, 遷延性の意識障害を合併したが, 血液吸着, 血漿交換により救命し得た症例を経験した. (症例)66歳, 女性. (既往)7年前に早期胃ガンにより遠位側胃切除術を受け, 3年前より器質的病変を伴わないてんかん症にてバルプロ酸を, 2年前より不定愁訴に対し, フェノバルビタール, エチゾラムを服用中であった. (現病歴)入院前日の午前中より, 頭痛があり, 自己判断にて午後2時から2~3時間の間にナロン錠(TH)24錠を2~3錠ずつ服用した. 翌日の朝も頭...
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Zusammenfassung: | 今回我々は, 市販のアセトアミノフェン(AC)配合製剤であるナロン錠(TH)を大量に服用し, その後, ショック, 急性肝細胞壊死, DIC, 遷延性の意識障害を合併したが, 血液吸着, 血漿交換により救命し得た症例を経験した. (症例)66歳, 女性. (既往)7年前に早期胃ガンにより遠位側胃切除術を受け, 3年前より器質的病変を伴わないてんかん症にてバルプロ酸を, 2年前より不定愁訴に対し, フェノバルビタール, エチゾラムを服用中であった. (現病歴)入院前日の午前中より, 頭痛があり, 自己判断にて午後2時から2~3時間の間にナロン錠(TH)24錠を2~3錠ずつ服用した. 翌日の朝も頭痛か持続するため, さらに2錠内服した. (ACとして総量3.445g). 午前10時頃, 家人が様子のおかしいのに気づき, 午後1時30分, 受診となった. 来院時, 意識レベルI-3, 自力歩行可能であったが, 30分の間に急激に意識レベル低下し, III-100となった. ACによる薬物中毒として, 内服開始後すでに24時間経過していたが, 一日極量3gを越え, しかも肝逸脱酵素の上昇(AST2530mU/ml, ALT1670mU/ml)を認めたため, 直接血液潅流(DHP)を施行した. その後は保存的に経過を追った. しかし, 意識障害の進行(レベルIII-300), 肝細胞壊死によると考えられる重篤な肝機能障害, DIC合併したため, 第4病日に血漿交換(PEX)を施行した. その後, 肝機能は徐々に改善したが, 意識障害は遷延した. 脳CT上, 異常を認めず, 脳波上, 広範な瀰漫性のθ波を示した. 第7病日より徐々に意識状態の改善を認め, 第9病日には意識清明となり, 第10病日に一般病棟へ転棟した. (まとめ)1. ナロン錠(TH)服用による重症肝障害, DIC, 遷延性の意識障害を合併した一症例を経験した. 2. 集中的な循環呼吸管理に加え, DHP, PEXの併用により救命し得た. 3. 重症肝障害, DICはACによると考えられたが, 意識障害の遷延に関しては, ナロン錠(TH)の配合剤であるブロムワレリル尿素の関与が示唆された. |
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ISSN: | 0288-4348 |