冠動脈スパズムが原因と思われる肝切除中心停止の1症例
Pringle法を用いての肝切除中に突然心電図異常をきたした後, 心停止にいたった症例を経験したので報告する. 60歳男性, 身長158cm, 体重56kg. 予定手術はS_4 亜区域切除. 現症に糖尿病とchild分類Aの肝硬変を有していたが, 心電図異常は認めなかった. 麻酔はミダゾラム8mg, ベクロニウム12mgで気管内挿管後, 2%メピバカイン8ml/hrの持続硬膜外麻酔とGOI(4リットル笑気, 2リットル酸素, 0.5~2%Isoflulane)で維持した. 手術中の肝血流量を維持する目的でPGE_1 0.02~0.05μg/kg/min, Dopamine3~5μg/kg/mi...
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Zusammenfassung: | Pringle法を用いての肝切除中に突然心電図異常をきたした後, 心停止にいたった症例を経験したので報告する. 60歳男性, 身長158cm, 体重56kg. 予定手術はS_4 亜区域切除. 現症に糖尿病とchild分類Aの肝硬変を有していたが, 心電図異常は認めなかった. 麻酔はミダゾラム8mg, ベクロニウム12mgで気管内挿管後, 2%メピバカイン8ml/hrの持続硬膜外麻酔とGOI(4リットル笑気, 2リットル酸素, 0.5~2%Isoflulane)で維持した. 手術中の肝血流量を維持する目的でPGE_1 0.02~0.05μg/kg/min, Dopamine3~5μg/kg/minを持続投与していた. 手術開始後循環状態は安定していたが, 2回目のpringle操作で突然心電図にST上昇が認められた. クランプ解除で心電図は一時改善されたが, その後心室細動になり心停止にいたった. 直ちに心蘇生を試み数度のカウンターショックを行ったが心拍動は得られなかった. そのため, 人工マッサージ下にIABPを挿入しカウンターショックを行ったところ, 心停止30分後に心拍動が再開され蘇生に成功した. 以後, IABP作動下に肝血流の遮断を行わず肝切除術を完了し, ICUに収容した. 手術中の出血量は7000mlを超えたが尿量はよく確保された. 手術終了後12誘導の心電図で心筋梗塞の所見がなかったので心筋梗塞は否定された. 術後数日の脳波所見でdiffuseなδ波が出現したがしだいに消失し, 順調な経過をたどり術後40日に独歩退院した. 手術中の冠動脈スパズムはいろいろな原因で引き起こると報告されているが, 本症例については明確にできなかったが, 肝血流遮断がなんらかの引き金になったと推測される. 心停止中の循環虚脱時においてもPGE_1 , ニトログリセリンなどのvasodilatorを使用し, IABPが効率良く作動したことが, 後遺症を残さずに蘇生しえたことと考えられる. |
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ISSN: | 0288-4348 |