小児心停止例における脳蘇生の検討
心肺停止後の神経学的予後について諸家の報告では救命し得たもののうち20~56%に重篤かつ永久的な脳障害を認め, 社会復帰まで至るのは1%に満たないとされている. 蘇生後の脳障害は社会的にも問題となっており, 脳蘇生に対する関心は高い. 一方小児においては比較的神経障害は可逆的であるとされ, 脳死診断基準においても6歳未満は除外されている. 今回われわれは6歳未満の小児における心停止後脳蘇生についてretrospectiveに検討した. 1977年3月から1992年4月までに当院集中治療部に心停止後蘇生し得入室した6歳未満の症例18例とした. ただし頭蓋内外の器質的病変を伴うもの(頭蓋内病変,...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 心肺停止後の神経学的予後について諸家の報告では救命し得たもののうち20~56%に重篤かつ永久的な脳障害を認め, 社会復帰まで至るのは1%に満たないとされている. 蘇生後の脳障害は社会的にも問題となっており, 脳蘇生に対する関心は高い. 一方小児においては比較的神経障害は可逆的であるとされ, 脳死診断基準においても6歳未満は除外されている. 今回われわれは6歳未満の小児における心停止後脳蘇生についてretrospectiveに検討した. 1977年3月から1992年4月までに当院集中治療部に心停止後蘇生し得入室した6歳未満の症例18例とした. ただし頭蓋内外の器質的病変を伴うもの(頭蓋内病変, 代謝疾患, 先天疾患)は除外した. 心停止の原因は溺水13例, 気道異物2例, 原因不明の窒息2例, 術後呼吸停止1例であった. 8例(40%)が脳死状態となった一方6例(33%)はJCS1けた以上まで回復, うち2例(11%)は社会復帰し得た. 心停止時間およびCPR開始までの時間と神経学的予後については関連を認めなかった. 神経回復良好群は冬季に多く, 夏期の症例では比較的神経予後は不良な傾向にあった. また回復群では早期(1週間以内)に脳波所見, 意識レベルの改善をみたが1例では2週間目頃より改善した. 長時間の心停止にもかかわらず, 2症例において神経学的後遺症を残さずに蘇生できたことは, 小児における積極的心肺脳蘇生の重要性を示唆するものと考える. |
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ISSN: | 0288-4348 |