代謝性アシドーシス時の肝循環, 肝乳酸代謝に及ぼす重炭酸ナトリウムの影響
心肺脳蘇生時や, 代謝性アシドーシスの補正に用いられるNaHCO_3 は, 血液のpHは上昇するものの細胞内pHを更に低下させ, その結果, 細胞内代謝を増悪させると言われている. このNaHCO_3 使用時の肝循環, 肝酸素代謝, 肝乳酸処理能および肝エネルギーチャージの指標として動脈血中ケトン体比(KBR)への影響を検討したので報告する. 雑種成犬(16頭)を使用しNaHCO_3 投与群(n=9), 非投与群(n=7)の2群とした. 調節呼吸下にF_I _O2 を0.08まで次第に低下し動脈血pHを7.10以下とした後に, F_I _O2 を0.21に戻し30分後より7.0%NaHCO_3...
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Zusammenfassung: | 心肺脳蘇生時や, 代謝性アシドーシスの補正に用いられるNaHCO_3 は, 血液のpHは上昇するものの細胞内pHを更に低下させ, その結果, 細胞内代謝を増悪させると言われている. このNaHCO_3 使用時の肝循環, 肝酸素代謝, 肝乳酸処理能および肝エネルギーチャージの指標として動脈血中ケトン体比(KBR)への影響を検討したので報告する. 雑種成犬(16頭)を使用しNaHCO_3 投与群(n=9), 非投与群(n=7)の2群とした. 調節呼吸下にF_I _O2 を0.08まで次第に低下し動脈血pHを7.10以下とした後に, F_I _O2 を0.21に戻し30分後より7.0%NaHCO_3 5ml/kgを30分間で門脈内持続投与した. 低酸素中は0.5~1.0MACのセボフルレンで麻酔した. 測定項目は, 動脈血, 門脈血, 肝静脈血のガス分析および乳酸濃度, それぞれの測定は, F_I _O2 0.21のコントロール時, F_I _O2 0.08のハイポキシア時, F_I _O2 0.21に戻して30分後のリカバリー30分後, 60分後の合計4回行った. 平均動脈圧, 心拍出量, 肝動脈血流量, 門脈血流量, 総肝血流量, 肝酸素供給量, 肝酸素消費量, 肝動脈乳酸量, 門脈血乳酸量, 肝乳酸処理能, KBRの値は, 非投与群と投与群の間で有意差は認められなかった. BEは, 非投与群でリカバリー30分後で-20.3から, 60分後の-16.3へと軽度の上昇を示したが, 投与群ではそれぞれ-17.5から-2.7へと非投与群と比べ有意に上昇した. 同様にpHは非投与群で7.036から7.136へと軽度の回復傾向を示したが, 投与群では7.109から7.369へと非投与群に比べ有意に上昇した. 循環状態, 肝酸素需給状態, 肝流入乳酸量, 肝乳酸処理能, ケトン体比のいずれも両群間に有意差はなかった. BE, pHは投与群で非投与群に比べ有意な上昇を示した. このことから低酸素性乳酸アシドーシスの回復過程でのNaHCO_3 の投与はpH, BEを速やかに回復させるが, 肝酸素代謝, 肝乳酸処理能, 肝エネルギーチャージに与える影響は少ないものと思われる. |
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ISSN: | 0288-4348 |