脂肪塞栓モデルによる脳MRIの検討

外傷骨折時の脂肪塞栓症候群の病態をラットに自己骨髄血液を静注し, 脂肪塞栓を発生させ, MRIと脂肪染色にて検討した. 脂肪塞栓モデルでは, ラット(SD系8週齢かDonryu系約1年齢)一側大腿骨を切断し採取したヘパリン加骨髄血液(直径約120μmの脂肪)0.15ml/100gを, 尾静脈から注入して作成した. 注入から脳MRI開始までの時間から, 2時間後をA群(2匹), 12時間後をB群(5), 24時間後をCa(SD, 17), Cb(Donryu, 6)の3群に分けた. MRIは, 1.5 tesla, SE法のT1像とT2像を臭球から小脳・延髄間で厚さ3mmの3ないし4枚の冠状断像...

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Hauptverfasser: 杉浦良啓, 藤林哲男, 高波千栄美, 中嶋一雄, 原田純, 高橋光太郎, 後藤幸生
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:外傷骨折時の脂肪塞栓症候群の病態をラットに自己骨髄血液を静注し, 脂肪塞栓を発生させ, MRIと脂肪染色にて検討した. 脂肪塞栓モデルでは, ラット(SD系8週齢かDonryu系約1年齢)一側大腿骨を切断し採取したヘパリン加骨髄血液(直径約120μmの脂肪)0.15ml/100gを, 尾静脈から注入して作成した. 注入から脳MRI開始までの時間から, 2時間後をA群(2匹), 12時間後をB群(5), 24時間後をCa(SD, 17), Cb(Donryu, 6)の3群に分けた. MRIは, 1.5 tesla, SE法のT1像とT2像を臭球から小脳・延髄間で厚さ3mmの3ないし4枚の冠状断像で撮影した. 染色はオスミュウム酸, ズダン(III, B), オイル赤Oで, 肺, 脾, 脳を染色対象とした. MRIで所見を認めたのは, C群のみであった(Caが3, Cbが2). 所見の特徴は, T2高信号, 1スライス幅, 一側性で海馬や皮質. 1週間後再度MRIを行った2例ではT2高信号像が消失していた. 次にT2高信号像の1例の脳と肺にオスミュウム酸染色を行った. 皮質深部と脳梁, 黒質, 大脳脚, 一側海馬等の毛細血管に脂肪塞栓を認めた. 肺では小静脈に脂肪塞栓を認めた. MRIに所見のなかった例では, 脳梁にわずかな毛細血管に脂肪を認めたに過ぎず, 肺の血管内にも脂肪はなかった. 更にMRIを実施しなかったラットの肺と脾に2, 24時間後ともにマクロファージに貪食された脂肪を認めた. 静脈内に入った脂肪は肺で補足, 貪食されるが, 一部の脂肪は体循環に入り脳, 脾等に到達する. ここでも毛細血管の塞栓や貪食で補足されるが, 脂肪処理能力の低下や血中脂肪球の急速な数と径の増大が生ずると, 脂肪塞栓症候群の発生する基盤が形成され, MRIで脳には浮腫を認める.
ISSN:0288-4348